この記事を読むと、平均値の条件から未知数 $a$ を求め、分散を計算する流れがわかります。
【問題】
5個の値 $6$, $11$, $15$, $17$, $a$ からなるデータの平均値が $a+1$ と等しいとき、このデータの分散を求めよ。
まずは自分の力で解いてみてください。「平均値の定義」から $a$ を求め、「分散の定義」で計算する流れが基本です。
いまから解説します。自分の力で解きましたか?
【解説と解答】平均の条件から分散を求める
導入
「平均値が $a+1$ と等しい」という条件から、まず 未知数 $a$ の値を求める 必要があります。平均値の定義式を立てて $a$ について解き、そのあとで分散を計算します。
この単元でつまずきやすいポイントは以下の3つです。
- 平均値の定義 $\bar{x} = \frac{\text{合計}}{n}$ を式にできない
- $a$ を求めたあと、 分散の定義 (偏差の2乗の平均)を忘れる
- 偏差 は「各データ − 平均値」であり、符号を間違える
一緒に見ていきましょう。
「解き方」を思い出すための取っ掛かり(初心者向け)
ステップ1:平均値の式を立てる
5個のデータの合計は $6 + 11 + 15 + 17 + a = 49 + a$ です。平均値は $\frac{49+a}{5}$ です。
なぜここから始めるか: 問題文で「平均値が $a+1$」と与えられているので、 $\frac{49+a}{5} = a+1$ という方程式が立ちます。
ステップ2:$a$ について解く
$\frac{49+a}{5} = a+1$ の両辺に $5$ をかけると、 $49 + a = 5a + 5$ です。移項して $44 = 4a$ 、よって $a = 11$ です。
ステップ3:$a$ を代入したデータで分散を求める
$a = 11$ なので、データは $6$, $11$, $15$, $17$, $11$ です。平均は $11 + 1 = 12$ です。分散は「偏差の2乗の平均」で求めます。
使う武器(公式・定理)
1. 平均値の定義
$n$ 個のデータ $x_1, x_2, \ldots, x_n$ の平均値 $\bar{x}$ は、
$$ \bar{x} = \frac{x_1 + x_2 + \cdots + xn}{n} = \frac{1}{n} \sum{i=1}^{n} x_i $$
です。
2. 分散の定義
分散 $s^2$ は 偏差の2乗の平均 です。偏差は「各データ − 平均値」なので、
$$ s^2 = \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} (x_i – \bar{x})^2 $$
です。
既習の方はこのセクションを読み飛ばして構いません。
思考のプロセス(Step by Step)
Step 1:平均値の条件から $a$ を求める
5個のデータ $6$, $11$, $15$, $17$, $a$ の合計は $49 + a$ です。平均値は、
$$ \bar{x} = \frac{49 + a}{5} $$
です。これが $a + 1$ と等しいので、
$$ \frac{49 + a}{5} = a + 1 $$
両辺に $5$ をかけて、
$$ 49 + a = 5(a + 1) = 5a + 5 $$
移項して、
$$ 49 – 5 = 5a – a \quad \Rightarrow \quad 44 = 4a \quad \Rightarrow \quad a = 11 $$
Step 2:データと平均値を確認する
$a = 11$ なので、データは $6$, $11$, $15$, $17$, $11$ の5個です。
平均値は $\bar{x} = a + 1 = 11 + 1 = 12$ です(または $\frac{6+11+15+17+11}{5} = \frac{60}{5} = 12$ で確認できます)。
Step 3:偏差と偏差の2乗を求める
| データ | $6$ | $11$ | $15$ | $17$ | $11$ |
|---|---|---|---|---|---|
| 偏差 $x_i – \bar{x}$ | $-6$ | $-1$ | $3$ | $5$ | $-1$ |
| 偏差の2乗 $(x_i – \bar{x})^2$ | $36$ | $1$ | $9$ | $25$ | $1$ |
偏差の2乗の合計は $36 + 1 + 9 + 25 + 1 = 72$ です。
Step 4:分散を求める
$$ s^2 = \frac{72}{5} = \frac{72}{5} $$
解答
分散 $\quad s^2 = \frac{72}{5}$
【まとめ】平均の条件から分散を求めるポイント
- 平均値の定義 から方程式 $\frac{49+a}{5} = a+1$ を立て、 $a$ を求める
- 偏差 は「各データ − 平均値」。合計は必ず $0$ になる
- 分散 は「偏差の2乗の平均」。表を作ると計算ミスを防げる
- 未知数が含まれるデータでは、 まず条件式で未知数を特定する のが鉄則
【解き直しのすすめ】本当に理解できているか確認する
「わかったつもり」を防ぐには、 何も見ずに自分の手で解き直す ことが大切です。
解説を読む(インプット)と、自分で解く(アウトプット)は別の力です。解説を見ながらだと「理解した気」になってしまいます。
明日、何も見ずにこの問題が解けるかテストしてみてください。それが本当の実力です。
【最強の暗記法:絞り込みリコールシート】
□ 問題:$n$ 個のデータの平均値 $\bar{x}$ の定義は?
□ 答: $\bar{x} = \frac{1}{n}(x_1 + x_2 + \cdots + x_n)$ (合計 ÷ 個数)
□ 問題:分散 $s^2$ の定義は?
□ 答:偏差の2乗の平均。 $s^2 = \frac{1}{n}\sum(x_i – \bar{x})^2$
□ 問題:偏差とは何か? 偏差の合計はどうなるか?
□ 答:各データから平均値を引いたもの。偏差の合計は必ず $0$
□ 問題:平均が $a+1$ のとき、 $\frac{49+a}{5} = a+1$ から $a$ を求めるには?
□ 答:両辺に $5$ をかけて $49+a=5a+5$ 、移項して $44=4a$ 、よって $a=11$
□ 問題:データ $6$, $11$, $15$, $17$, $11$ の平均は?
□ 答: $\frac{60}{5} = 12$
□ 問題:平均が $12$ のとき、データ $6$ の偏差は?
□ 答: $6 – 12 = -6$
□ 問題:分散を求めるとき、なぜ偏差を2乗するか?
□ 答:偏差のまま平均すると $0$ になる。2乗すると正の値になり、散らばりを表せる
□ 問題:偏差の2乗が $36$, $1$, $9$, $25$, $1$ のとき、分散は?
□ 答: $\frac{36+1+9+25+1}{5} = \frac{72}{5}$
□ 問題:未知数を含むデータで分散を求める手順は?
□ 答:①平均の条件から未知数を求める ②データを確定させる ③分散の定義で計算する
□ 問題:分散と標準偏差の関係は?
□ 答:標準偏差 $s = \sqrt{s^2}$ (分散の平方根)
【友達に教えてあげよう】
平均値の条件から未知数 $a$ を求めて分散を出す問題で、式の立て方や計算順序がピンとこない友達、周りにいませんか?
この解説を読んだあなたは、「平均の式 → $a$ を求める → 分散の定義で計算」という流れを押さえています。たった数分で、データの分析の典型パターンを身につけられる解説は、なかなかありません。
人に教えると、自分の理解が深まります。ラーニングピラミッドでも「教える」が最も定着率の高い学習法といわれています。このページのURLを送るだけでなく、 友達に解き方を自分の言葉で説明してみてください 。教えるつもりで解くと、曖昧だった部分がはっきりします。説明できたら、本物の理解です。
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