【問題】
(2) (a) (1)の(ア)~(オ)の酸化物と塩酸
(b) (ア)、(エ)、(オ)と水酸化ナトリウム水溶液が中和反応する場合には完全に中和するときの化学反応式を、反応しない場合には、「反応しない」と答えよ。
酸化物一覧
- (ア) $\text{CO}_2$(二酸化炭素)
- (イ) $\text{CaO}$(酸化カルシウム)
- (ウ) $\text{Na}_2\text{O}$(酸化ナトリウム)
- (エ) $\text{SO}_2$(二酸化硫黄)
- (オ) $\text{Fe}_2\text{O}_3$(酸化鉄(III))
まずは自分の力で解いてみてください。各酸化物が「酸性酸化物」か「塩基性酸化物」かを思い出しながら、塩酸や水酸化ナトリウムとの反応を考えてみましょう。
いまから解説します。自分の力で解きましたか?
【解説と解答】酸化物と酸・塩基の中和反応|なぜ反応する・しないが決まるのか
導入:酸化物の「性質」がすべてのカギ
この問題でつまずきやすいのは、どの酸化物が塩酸と反応し、どの酸化物が水酸化ナトリウムと反応するのかが混乱することです。
ポイントは、酸化物を 酸性酸化物 と 塩基性酸化物 に分類することです。
| 種類 | 性質 | 酸と反応 | 塩基と反応 |
|---|---|---|---|
| 酸性酸化物 | 水と反応して酸を与える | × | ○ |
| 塩基性酸化物 | 水と反応して塩基を与える | ○ | × |
「酸と酸」「塩基と塩基」は反応しません。酸と塩基 が反応して中和します。
使う武器(公式・定理)
酸性酸化物・塩基性酸化物の見分け方
- 酸性酸化物:非金属の酸化物が多い。$\text{CO}_2$、$\text{SO}_2$、$\text{SO}_3$ など。水と反応して酸になる。
- 塩基性酸化物:金属の酸化物が多い。$\text{CaO}$、$\text{Na}_2\text{O}$、$\text{Fe}_2\text{O}_3$ など。水と反応して塩基(水酸化物)になる。
- 両性酸化物:$\text{Al}_2\text{O}_3$、$\text{ZnO}$ などは酸にも塩基にも反応する。今回は出てきません。
既習の方はこのセクションを読み飛ばしてOKです。
思考のプロセス(Step by Step)
各酸化物の分類を確認する
| 酸化物 | 種類 | 根拠 |
|---|---|---|
| (ア) $\text{CO}_2$ | 酸性酸化物 | 非金属の酸化物。水と反応して炭酸 $\text{H}_2\text{CO}_3$ を与える |
| (イ) $\text{CaO}$ | 塩基性酸化物 | 金属の酸化物。水と反応して $\text{Ca(OH)}_2$ を与える |
| (ウ) $\text{Na}_2\text{O}$ | 塩基性酸化物 | 金属の酸化物。水と反応して $\text{NaOH}$ を与える |
| (エ) $\text{SO}_2$ | 酸性酸化物 | 非金属の酸化物。水と反応して亜硫酸 $\text{H}_2\text{SO}_3$ を与える |
| (オ) $\text{Fe}_2\text{O}_3$ | 塩基性酸化物 | 金属の酸化物。水にはほとんど溶けないが塩基性 |
(a) 塩酸との反応
塩酸 $\text{HCl}$ は 酸 です。したがって、
- 酸性酸化物(ア・エ)→ 酸と酸 → 反応しない
- 塩基性酸化物(イ・ウ・オ)→ 塩基と酸 → 中和反応する
(ア) $\text{CO}_2$ と塩酸
$\text{CO}_2$ は酸性酸化物。塩酸も酸。酸と酸は反応しない。
答:反応しない
(イ) $\text{CaO}$ と塩酸
$\text{CaO}$ は塩基性酸化物。塩酸と中和する。
$$ \text{CaO} + 2\text{HCl} \rightarrow \text{CaCl}_2 + \text{H}_2\text{O} $$
$\text{CaO}$ の O が $\text{H}_2\text{O}$ に、$\text{Ca}$ が $\text{CaCl}_2$ になる。完全に中和するためには $\text{CaO}$ 1 mol に $\text{HCl}$ 2 mol 必要。
答: $\text{CaO} + 2\text{HCl} \rightarrow \text{CaCl}_2 + \text{H}_2\text{O}$
(ウ) $\text{Na}_2\text{O}$ と塩酸
$\text{Na}_2\text{O}$ は塩基性酸化物。塩酸と中和する。
$$ \text{Na}_2\text{O} + 2\text{HCl} \rightarrow 2\text{NaCl} + \text{H}_2\text{O} $$
答: $\text{Na}_2\text{O} + 2\text{HCl} \rightarrow 2\text{NaCl} + \text{H}_2\text{O}$
(エ) $\text{SO}_2$ と塩酸
$\text{SO}_2$ は酸性酸化物。塩酸も酸。反応しない。
答:反応しない
(オ) $\text{Fe}_2\text{O}_3$ と塩酸
$\text{Fe}_2\text{O}_3$ は塩基性酸化物。塩酸と反応する。$\text{Fe}_2\text{O}_3$ には $\text{O}$ が3個あるので、完全に中和するには $\text{HCl}$ が6 mol 必要。
$$ \text{Fe}_2\text{O}_3 + 6\text{HCl} \rightarrow 2\text{FeCl}_3 + 3\text{H}_2\text{O} $$
答: $\text{Fe}_2\text{O}_3 + 6\text{HCl} \rightarrow 2\text{FeCl}_3 + 3\text{H}_2\text{O}$
(b) 水酸化ナトリウム水溶液との反応
水酸化ナトリウム $\text{NaOH}$ は 塩基 です。したがって、
- 酸性酸化物(ア・エ)→ 塩基と酸性酸化物 → 反応する
- 塩基性酸化物(オ)→ 塩基と塩基 → 反応しない
(ア) $\text{CO}_2$ と水酸化ナトリウム水溶液
$\text{CO}_2$ は酸性酸化物。塩基と反応して塩(炭酸ナトリウム)と水を与える。
$$ \text{CO}_2 + 2\text{NaOH} \rightarrow \text{Na}_2\text{CO}_3 + \text{H}_2\text{O} $$
答: $\text{CO}_2 + 2\text{NaOH} \rightarrow \text{Na}_2\text{CO}_3 + \text{H}_2\text{O}$
(エ) $\text{SO}_2$ と水酸化ナトリウム水溶液
$\text{SO}_2$ は酸性酸化物。塩基と反応して亜硫酸ナトリウムと水を与える。
$$ \text{SO}_2 + 2\text{NaOH} \rightarrow \text{Na}_2\text{SO}_3 + \text{H}_2\text{O} $$
答: $\text{SO}_2 + 2\text{NaOH} \rightarrow \text{Na}_2\text{SO}_3 + \text{H}_2\text{O}$
(オ) $\text{Fe}_2\text{O}_3$ と水酸化ナトリウム水溶液
$\text{Fe}_2\text{O}_3$ は塩基性酸化物。水酸化ナトリウムも塩基。塩基と塩基は反応しない。
答:反応しない
解答
(a) 塩酸との反応
| 酸化物 | 反応式 |
|---|---|
| (ア) $\text{CO}_2$ | 反応しない |
| (イ) $\text{CaO}$ | $\text{CaO} + 2\text{HCl} \rightarrow \text{CaCl}_2 + \text{H}_2\text{O}$ |
| (ウ) $\text{Na}_2\text{O}$ | $\text{Na}_2\text{O} + 2\text{HCl} \rightarrow 2\text{NaCl} + \text{H}_2\text{O}$ |
| (エ) $\text{SO}_2$ | 反応しない |
| (オ) $\text{Fe}_2\text{O}_3$ | $\text{Fe}_2\text{O}_3 + 6\text{HCl} \rightarrow 2\text{FeCl}_3 + 3\text{H}_2\text{O}$ |
(b) 水酸化ナトリウム水溶液との反応
| 酸化物 | 反応式 |
|---|---|
| (ア) $\text{CO}_2$ | $\text{CO}_2 + 2\text{NaOH} \rightarrow \text{Na}_2\text{CO}_3 + \text{H}_2\text{O}$ |
| (エ) $\text{SO}_2$ | $\text{SO}_2 + 2\text{NaOH} \rightarrow \text{Na}_2\text{SO}_3 + \text{H}_2\text{O}$ |
| (オ) $\text{Fe}_2\text{O}_3$ | 反応しない |
【まとめ】
- 酸性酸化物($\text{CO}_2$、$\text{SO}_2$ など):酸とは反応しない。塩基と反応する。
- 塩基性酸化物($\text{CaO}$、$\text{Na}_2\text{O}$、$\text{Fe}_2\text{O}_3$ など):塩基とは反応しない。酸と反応する。
- 中和反応の係数:酸化物の O の数に注目。1つの O が $\text{H}_2\text{O}$ 1個になるので、$\text{HCl}$ または $\text{NaOH}$ は O 1個あたり2 mol 必要。
- 覚え方:「酸+酸」「塩基+塩基」は反応しない。「酸+塩基」で中和する。
【解き直しのすすめ】
「わかったつもり」を防ぐには、まず酸性酸化物・塩基性酸化物を自分で分類できるか を確認してください。
明日、何も見ずにこの問題が解けるかテストしてみてください。それが本当の実力です。
【最強の暗記法:絞り込みリコールシート】
□ 問題:酸性酸化物とは何か?塩酸と反応するか?
□ 答:非金属の酸化物で、水と反応して酸を与えるもの。塩酸も酸なので、酸性酸化物とは反応しない。
□ 問題:塩基性酸化物とは何か?水酸化ナトリウムと反応するか?
□ 答:金属の酸化物で、水と反応して塩基を与えるもの。水酸化ナトリウムも塩基なので、塩基性酸化物とは反応しない。
□ 問題:$\text{CO}_2$ は酸性酸化物か塩基性酸化物か?塩酸とは?
□ 答:酸性酸化物。水と反応して炭酸 $\text{H}_2\text{CO}_3$ になる。塩酸とは反応しない(酸と酸)。
□ 問題:$\text{CaO}$ と塩酸の反応式を書け。
□ 答:$\text{CaO} + 2\text{HCl} \rightarrow \text{CaCl}_2 + \text{H}_2\text{O}$
□ 問題:$\text{SO}_2$ は酸性酸化物か塩基性酸化物か?水酸化ナトリウムとは?
□ 答:酸性酸化物。水と反応して亜硫酸 $\text{H}_2\text{SO}_3$ になる。水酸化ナトリウムと反応する。
□ 問題:$\text{CO}_2$ と水酸化ナトリウムの完全中和の反応式を書け。
□ 答:$\text{CO}_2 + 2\text{NaOH} \rightarrow \text{Na}_2\text{CO}_3 + \text{H}_2\text{O}$
□ 問題:$\text{SO}_2$ と水酸化ナトリウムの完全中和の反応式を書け。
□ 答:$\text{SO}_2 + 2\text{NaOH} \rightarrow \text{Na}_2\text{SO}_3 + \text{H}_2\text{O}$
□ 問題:$\text{Fe}_2\text{O}_3$ は酸性酸化物か塩基性酸化物か?
□ 答:塩基性酸化物。金属の酸化物。塩酸とは反応するが、水酸化ナトリウムとは反応しない。
□ 問題:$\text{Fe}_2\text{O}_3$ と塩酸の完全中和の反応式を書け。係数は?
□ 答:$\text{Fe}_2\text{O}_3 + 6\text{HCl} \rightarrow 2\text{FeCl}_3 + 3\text{H}_2\text{O}$。O が3個だから $\text{HCl}$ は6 mol。
□ 問題:酸化物と酸・塩基が「反応しない」のはどんな組み合わせか?
□ 答:酸性酸化物+酸、塩基性酸化物+塩基。同じ性質同士は反応しない。
□ 問題:$\text{Na}_2\text{O}$ と塩酸の反応式を書け。
□ 答:$\text{Na}_2\text{O} + 2\text{HCl} \rightarrow 2\text{NaCl} + \text{H}_2\text{O}$
□ 問題:塩基性酸化物と酸が反応すると、何ができるか?
□ 答:塩と水。例:$\text{CaO} + 2\text{HCl} \rightarrow \text{CaCl}_2 + \text{H}_2\text{O}$ では $\text{CaCl}_2$(塩)と $\text{H}_2\text{O}$(水)ができる。
【友達に教えてあげよう】
酸化物と酸・塩基の反応で、「どれが塩酸と反応して、どれが水酸化ナトリウムと反応するんだっけ?」と悩んでいる友達、周りにいませんか?
この解説を読んだあなたは、もう「酸性酸化物」「塩基性酸化物」の分類と、その反応の可否を判断できる武器を手に入れています。たった数分でここまで整理できる解説は、なかなかありません。
ラーニングピラミッドでは、「人に教える」ことが最も定着率の高い学習法だとされています。友達にURLを送るだけでなく、「酸性酸化物は塩基と反応するんだよ」と自分の言葉で説明してみてください。教えるつもりで解くと、曖昧だった部分がはっきりしてきます。
もし周りに同じ単元で悩んでいる友達がいたら、このページのURLを送ってあげてください。あなたの一言が、友達の「わからない」を「わかった!」に変えるかもしれません。