この記事を読むと、正四面体の垂線の長さ・体積・三角比を一気に求める手順がわかります。
【問題】
1辺の長さが $3$ の正四面体 ABCD がある。頂点 A から底面 BCD に下ろした垂線を AH、辺 AB を $1:2$ の長さに分ける点を E とする。次のものを求めよ。
(1) BH、AH の長さ
(2) BH : AH : AB の比
(3) 正四面体 ABCD の体積 $V_1$
(4) $\sin\angle\mathrm{ABH}$ の値、四面体 EBCD の体積 $V_2$
まずは図を描いて、自分の力で解いてみてください。垂線の足 H がどこにあるかを押さえるのがコツです。
いまから解説します。自分の力で解きましたか?
【解説と解答】正四面体の垂線・体積・三角比の求め方
導入:空間図形は「平面に分解」する
正四面体の問題では、垂線 AH を含む三角形と底面の三角形を別々に取り出して考えるのが鉄則です。
なぜここに注目するのか:空間図形をそのまま扱うと複雑になるため、使える公式の条件(三平方の定理、正弦定理、体積公式)を満たす平面図形に分解します。
取っ掛かりのステップ:
- 垂線の足 H の位置を特定する → $\triangle\mathrm{ABH}$、$\triangle\mathrm{ACH}$、$\triangle\mathrm{ADH}$ の合同から BH = CH = DH を導き、H が底面の重心と一致することを押さえる
- 底面の正三角形を取り出す → 重心の性質「頂点から重心までの距離 = $\frac{2}{3} \times$ 中線」で BH を求める
- $\triangle\mathrm{ABH}$ を取り出す → 三平方の定理で AH を求める
- 体積は $V = \frac{1}{3} \times \text{底面積} \times \text{高さ}$ で求める
- $\sin\angle\mathrm{ABH}$ は直角三角形 $\triangle\mathrm{ABH}$ で「対辺÷斜辺」
- 四面体 EBCD は、頂点 A を E に置き換えた角錐。高さの比(AE:EB = 1:2)から体積比を求める
使う武器(公式・定理)
- 重心の定義:三角形の3本の中線の交点。中線とは「頂点と対辺の中点を結んだ線分」のこと
- 重心の性質:重心は各中線を頂点から 2:1 に分ける。つまり、頂点から重心までの距離 = $\frac{2}{3} \times$ 中線の長さ
- 正三角形の中線:1辺 $a$ の正三角形で、中線の長さ = $\frac{a\sqrt{3}}{2}$
- 角錐の体積:$V = \frac{1}{3} \times \text{底面積} \times \text{高さ}$
- 直角三角形の合同:斜辺と1辺が等しければ合同(RHS)
- 直角三角形の三角比:$\sin\theta = \frac{\text{対辺}}{\text{斜辺}}$
既習の方はこのセクションを読み飛ばして構いません。
思考のプロセス(Step by Step)
(1) BH、AH の長さ
ステップ1:なぜ H は重心なのか?
まず、$\triangle\mathrm{ABH}$、$\triangle\mathrm{ACH}$、$\triangle\mathrm{ADH}$ の3つの三角形を比べてみましょう。
- どれも H で直角(AH が底面に垂直だから)
- 斜辺は AB = AC = AD = 3(正四面体なのですべて等しい)
- もう1辺は AH(共通)
直角三角形で「斜辺が等しく、もう1辺も等しい」なら、合同です(RHS)。だから BH = CH = DH となります。
つまり、H は B、C、D の3点から等距離にある点です。正三角形では、3頂点から等距離の点は重心(3本の中線の交点)と一致します。正三角形では重心・外心・内心が同じ場所にあるからです。
ステップ2:重心の性質で BH を求める
重心とは「3本の中線の交点」で、各中線を頂点から 2:1 に分けます。だから、
(頂点から重心までの距離)= $\frac{2}{3} \times$(中線の長さ)
です。1辺 $3$ の正三角形の中線の長さは $\frac{3\sqrt{3}}{2}$ なので、
$$ \mathrm{BH} = \frac{2}{3} \cdot \frac{3\sqrt{3}}{2} = \sqrt{3} $$
覚え方:1辺 $a$ の正三角形では、頂点から重心までの距離は $\frac{a}{\sqrt{3}}$ です。
ステップ3:$\triangle\mathrm{ABH}$ で三平方の定理より、
$$ \mathrm{AH} = \sqrt{\mathrm{AB}^2 – \mathrm{BH}^2} = \sqrt{3^2 – (\sqrt{3})^2} = \sqrt{9 – 3} = \sqrt{6} $$
答 (1):$\mathrm{BH} = \sqrt{3}$、$\mathrm{AH} = \sqrt{6}$
(2) BH : AH : AB の比
$\mathrm{BH} = \sqrt{3}$、$\mathrm{AH} = \sqrt{6}$、$\mathrm{AB} = 3$ より、
$$ \mathrm{BH} : \mathrm{AH} : \mathrm{AB} = \sqrt{3} : \sqrt{6} : 3 $$
$\sqrt{3}$ で割ると、
$$ = 1 : \sqrt{2} : \sqrt{3} $$
答 (2):$\mathrm{BH} : \mathrm{AH} : \mathrm{AB} = 1 : \sqrt{2} : \sqrt{3}$
(3) 正四面体 ABCD の体積 $V_1$
底面 $\triangle\mathrm{BCD}$ の面積は、
$$ \frac{1}{2} \cdot 3 \cdot 3 \cdot \sin 60° = \frac{9\sqrt{3}}{4} $$
体積は、
$$ V_1 = \frac{1}{3} \cdot \frac{9\sqrt{3}}{4} \cdot \sqrt{6} = \frac{9\sqrt{18}}{12} = \frac{9 \cdot 3\sqrt{2}}{12} = \frac{9\sqrt{2}}{4} $$
答 (3):$V_1 = \frac{9\sqrt{2}}{4}$
(4) $\sin\angle\mathrm{ABH}$ の値、四面体 EBCD の体積 $V_2$
$\sin\angle\mathrm{ABH}$ について
$\triangle\mathrm{ABH}$ は $\angle\mathrm{AHB} = 90°$ の直角三角形です。$\angle\mathrm{ABH}$ は頂点 B の角なので、対辺は AH です。
$$ \sin\angle\mathrm{ABH} = \frac{\mathrm{AH}}{\mathrm{AB}} = \frac{\sqrt{6}}{3} $$
四面体 EBCD の体積 $V_2$ について
E は辺 AB を $1:2$ に内分する点なので、$\mathrm{AE} : \mathrm{EB} = 1 : 2$ です。A は底面より上、B は底面の頂点なので、E の高さは A の高さの $\frac{2}{3}$ です。
四面体 ABCD と四面体 EBCD は底面 BCD を共有し、高さの比が $\mathrm{AH} : \text{(E から底面への距離)} = 1 : \frac{2}{3}$ です。よって、
$$ V_2 = \frac{2}{3} \cdot V_1 = \frac{2}{3} \cdot \frac{9\sqrt{2}}{4} = \frac{9\sqrt{2}}{6} = \frac{3\sqrt{2}}{2} $$
答 (4):$\sin\angle\mathrm{ABH} = \frac{\sqrt{6}}{3}$、$V_2 = \frac{3\sqrt{2}}{2}$
【まとめ】正四面体の垂線・体積・三角比のポイント
- 垂線の足 H:正四面体では H は底面の重心。BH = CH = DH から「3頂点から等距離」を導き、正三角形では重心と一致する
- BH:重心の性質「頂点から重心まで = $\frac{2}{3} \times$ 中線」で求める。1辺 $a$ のとき $\mathrm{BH} = \frac{a}{\sqrt{3}}$
- AH:三平方の定理で $\mathrm{AH} = \sqrt{\mathrm{AB}^2 – \mathrm{BH}^2} = \sqrt{6}$
- BH : AH : AB:$1 : \sqrt{2} : \sqrt{3}$ と覚えておくと便利
- 体積:$V = \frac{1}{3} \times \text{底面積} \times \text{高さ}$
- 四面体 EBCD:底面共通なら、高さの比がそのまま体積比になる
【解き直しのすすめ】本当に理解できているか確認する
「わかったつもり」を防ぐには、何も見ずに自分の手で解き直すことが大切です。
解説を読む(インプット)と、自分で解く(アウトプット)は別の力です。解説を見ながらだと「理解した気」になってしまいます。
明日、何も見ずにこの問題が解けるかテストしてみてください。それが本当の実力です。
スペシャリストの視点
正四面体の「垂線の足が重心」という性質は、対称性に基づいています。実務では、システム設計やデータ構造において「対称性を利用して計算を簡略化する」発想がよく使われます。複雑な空間図形も、対称性に注目して平面に分解すれば、三平方の定理や体積公式といった既知の武器で解けることを押さえておくと、問題解決の汎用性が高まります。
【最強の暗記法:絞り込みリコールシート】
□ 問題:正四面体で、頂点から底面に下ろした垂線の足 H は、底面のどこにあるか?
□ 答:重心。$\mathrm{BH} = \mathrm{CH} = \mathrm{DH}$ だから H は3頂点から等距離。正三角形では重心と一致する。
□ 問題:$\triangle\mathrm{ABH}$、$\triangle\mathrm{ACH}$、$\triangle\mathrm{ADH}$ が合同といえる理由は?
□ 答:斜辺(AB=AC=AD=3)と1辺(AH)が等しい直角三角形。RHSで合同。だから BH=CH=DH。
□ 問題:三角形の重心とは?重心の性質は?
□ 答:3本の中線の交点。重心は各中線を頂点から2:1に分ける。頂点から重心まで = $\frac{2}{3} \times$ 中線。
□ 問題:1辺 $a$ の正三角形で、頂点から重心までの距離は?
□ 答:$\frac{a}{\sqrt{3}}$。中線 = $\frac{a\sqrt{3}}{2}$ で、重心まで = $\frac{2}{3} \times$ 中線。
□ 問題:正四面体で BH と AH の関係は?(三平方の定理)
□ 答:$\mathrm{AH}^2 = \mathrm{AB}^2 – \mathrm{BH}^2$。$\triangle\mathrm{ABH}$ は $\angle\mathrm{AHB} = 90°$ の直角三角形。
□ 問題:BH : AH : AB の比は?
□ 答:$1 : \sqrt{2} : \sqrt{3}$。$\sqrt{3} : \sqrt{6} : 3$ を $\sqrt{3}$ で割った形。
□ 問題:角錐の体積の公式は?
□ 答:$V = \frac{1}{3} \times \text{底面積} \times \text{高さ}$。
□ 問題:1辺 $3$ の正四面体の体積 $V_1$ は?
□ 答:$V_1 = \frac{9\sqrt{2}}{4}$。底面積 $\frac{9\sqrt{3}}{4}$、高さ $\sqrt{6}$ を代入。
□ 問題:$\triangle\mathrm{ABH}$ で $\sin\angle\mathrm{ABH}$ はどう求めるか?
□ 答:$\angle\mathrm{ABH}$ の対辺は AH。$\sin\angle\mathrm{ABH} = \frac{\mathrm{AH}}{\mathrm{AB}} = \frac{\sqrt{6}}{3}$。
□ 問題:E が AB を $1:2$ に内分するとき、四面体 EBCD の体積 $V_2$ は $V_1$ の何倍か?
□ 答:$\frac{2}{3}$ 倍。E の高さは A の高さの $\frac{2}{3}$。底面共通なので体積比 = 高さの比。
□ 問題:空間図形の問題で「平面に分解」するとは?
□ 答:垂線を含む直角三角形と、底面の三角形を別々に取り出し、三平方の定理・重心の性質・体積公式を使う。
□ 問題:四面体 ABCD と EBCD で、体積比を求めるコツは?
□ 答:底面が同じなら、体積比 = 高さの比。頂点の位置(A と E)から高さの比を求める。
【友達に教えてあげよう】
正四面体の垂線や体積でつまずいている友達、周りにいませんか?H が重心と一致する理由から、体積・三角比まで一気に押さえられる解説です。
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人に教えると、自分の理解が深まります。ラーニングピラミッドでも「教える」が最も定着率の高い学習法といわれています。このページのURLを送るだけでなく、友達に解き方を自分の言葉で説明してみてください。教えるつもりで解くと、曖昧だった部分がはっきりします。説明できたら、本物の理解です。
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