sin80°cos170°-cos80°sin170°、1/tan²50°-1/cos²40° の値を、余角・補角の公式で解く

【問題】

次の式の値を求めよ。

(1) $\sin 80° \cos 170° – \cos 80° \sin 170°$

(2) $\frac{1}{\tan^2 50°} – \frac{1}{\cos^2 40°}$

まずは自分の力で解いてみてください。(1) は $90° – \theta$ と $180° – \theta$ の公式で解きます。(2) は角度の関係(余角)に注目するとひらめきやすくなります。

いまから解説します。自分の力で解きましたか?


【解説と解答】余角・補角の公式で三角関数の値を求める

導入

三角関数の式の値を求める問題では、「式の形」と「角度の関係」の2つに注目すると、使う公式が浮かびやすくなります。

とはいえ、「どの公式を、いつ思い出すか」が難しいですよね。ここでは、 「どの順番で何を考えると、公式にたどり着けるか」 という取っ掛かりを、初心者向けに丁寧に説明します。


「公式を思い出す」ための取っ掛かり(初心者向け)

ステップ1:式の形に注目する

(1) $\sin 80° \cos 170° – \cos 80° \sin 170°$ を見てください。

  • 「 $\sin$ と $\cos$ が2つずつ、マイナスでつながっている」
  • 角度は $80°$ と $170°$。 $80° = 90° – 10°$、 $170° = 180° – 10°$ と表せる

$90° – \theta$ と $180° – \theta$ の公式で、すべて $10°$ の三角関数に置き換えます。

(2) $\frac{1}{\tan^2 50°} – \frac{1}{\cos^2 40°}$ を見てください。

  • 「 $\tan^2$ と $\cos^2$ の逆数が引かれている」
  • 「角度が $50°$ と $40°$ で違う」

$50° + 40° = 90°$ なので、 余角の関係 です。三角関数では「第1象限に合わせる」方針が有効なので、「 $50°$ と $40°$ のどちらを基準にするか」を決めます。ここでは $50°$ を基準にすると、 $\cos 40° = \sin 50°$(余角の公式)で $40°$ を $50°$ に還元できます。


ステップ2:使う公式を「キーワード」で引き出す

  • (1) 「 $80° = 90° – 10°$、 $170° = 180° – 10°$ 」→ $90° – \theta$ の公式 $\sin(90° – \theta) = \cos\theta$、 $\cos(90° – \theta) = \sin\theta$ と $180° – \theta$ の公式 $\sin(180° – \theta) = \sin\theta$、 $\cos(180° – \theta) = -\cos\theta$。最後に $\sin^2\theta + \cos^2\theta = 1$
  • (2) 「 $50°$ と $40°$ で $90°$ 」→ 余角の公式 $\cos(90° – \theta) = \sin\theta$

この問題でつまずきやすいポイントは以下の3つです:

  • (1) で「 $80°$ と $170°$ を $90° – 10°$、 $180° – 10°$ と表す」発想が浮かばない
  • (2) で「 $50°$ と $40°$ が余角」であることに気づかない
  • $\frac{1}{\tan^2}$ を $\frac{\cos^2}{\sin^2}$ に変形する発想が出てこない

一緒に見ていきましょう。


使う武器(公式・定理)

1. $90° – \theta$ と $180° – \theta$ の公式

$90° – \theta$ の公式:

$$ \sin(90° – \theta) = \cos\theta, \quad \cos(90° – \theta) = \sin\theta $$

$180° – \theta$ の公式:

$$ \sin(180° – \theta) = \sin\theta, \quad \cos(180° – \theta) = -\cos\theta $$

$80° = 90° – 10°$、 $170° = 180° – 10°$ と表すと、すべて $10°$ の三角関数に置き換えられます。最後に $\sin^2\theta + \cos^2\theta = 1$ を使います。


2. 余角の公式

$$ \cos(90° – \theta) = \sin \theta $$

$50°$ と $40°$ は余角なので、 $\cos 40° = \sin 50°$ が使えます。


3. $\tan$ の定義と $\frac{1}{\tan^2\theta}$ の変形

$\tan\theta = \frac{\sin\theta}{\cos\theta}$ より、 $\frac{1}{\tan\theta} = \frac{\cos\theta}{\sin\theta}$ です。

$$ \frac{1}{\tan^2\theta} = \left( \frac{1}{\tan\theta} \right)^2 = \left( \frac{\cos\theta}{\sin\theta} \right)^2 = \frac{\cos^2\theta}{\sin^2\theta} $$

$\frac{1}{\tan^2 50°}$ は $\frac{\cos^2 50°}{\sin^2 50°}$ と変形できます。

既習の方はこのセクションを読み飛ばして構いません。


思考のプロセス(Step by Step)


(1) $\sin 80° \cos 170° – \cos 80° \sin 170°$

$80° = 90° – 10°$、 $170° = 180° – 10°$ と表します。


Step 1:各三角関数を $10°$ で表す

$90° – \theta$ の公式より、

$$ \sin 80° = \sin(90° – 10°) = \cos 10°, \quad \cos 80° = \cos(90° – 10°) = \sin 10° $$

$180° – \theta$ の公式より、

$$ \cos 170° = \cos(180° – 10°) = -\cos 10°, \quad \sin 170° = \sin(180° – 10°) = \sin 10° $$


Step 2:代入して計算する

$$ \sin 80° \cos 170° – \cos 80° \sin 170° $$

$$ = \cos 10° \cdot (-\cos 10°) – \sin 10° \cdot \sin 10° $$

$$ = -\cos^2 10° – \sin^2 10° = -(\cos^2 10° + \sin^2 10°) = -1 $$


解答 (1)

$$ \sin 80° \cos 170° – \cos 80° \sin 170° = -1 $$


(2) $\frac{1}{\tan^2 50°} – \frac{1}{\cos^2 40°}$

Step 1: $\frac{1}{\tan^2 50°}$ を $\sin$ と $\cos$ で表す

$\tan 50° = \frac{\sin 50°}{\cos 50°}$ より、 $\frac{1}{\tan^2 50°} = \frac{\cos^2 50°}{\sin^2 50°}$ です。

$$ \frac{1}{\tan^2 50°} = \frac{\cos^2 50°}{\sin^2 50°} $$


Step 2: $\frac{1}{\cos^2 40°}$ を $50°$ で表す(余角の公式)

$40° = 90° – 50°$ なので、 $\cos 40° = \cos(90° – 50°) = \sin 50°$ です。

$$ \frac{1}{\cos^2 40°} = \frac{1}{\sin^2 50°} $$


Step 3:通分して計算する

$$ \frac{1}{\tan^2 50°} – \frac{1}{\cos^2 40°} = \frac{\cos^2 50°}{\sin^2 50°} – \frac{1}{\sin^2 50°} = \frac{\cos^2 50° – 1}{\sin^2 50°} $$

$\cos^2 50° – 1 = -(1 – \cos^2 50°) = -\sin^2 50°$ なので、

$$ = \frac{-\sin^2 50°}{\sin^2 50°} = -1 $$


解答 (2)

$$ \frac{1}{\tan^2 50°} – \frac{1}{\cos^2 40°} = -1 $$


【まとめ】余角・補角の公式で三角関数の値を求めるポイント

  • (1) $80° = 90° – 10°$、 $170° = 180° – 10°$ と表し、 $90° – \theta$ と $180° – \theta$ の公式で $10°$ に揃える。最後に $\sin^2\theta + \cos^2\theta = 1$ を使う
  • $50°$ と $40°$ は余角 なので、 $\cos 40° = \sin 50°$ で第1象限に揃える
  • $\frac{1}{\tan^2\theta} = \frac{\cos^2\theta}{\sin^2\theta}$ と変形し( $\tan\theta = \frac{\sin\theta}{\cos\theta}$ から導く)、 $\cos^2\theta – 1 = -\sin^2\theta$ で約分できる
  • 角度の関係( $90° – \theta$、 $180° – \theta$、余角)に注目すると、使う公式がひらめきやすくなる

【解き直しのすすめ】本当に理解できているか確認する

「わかったつもり」を防ぐには、 何も見ずに自分の手で解き直す ことが大切です。

解説を読む(インプット)と、自分で解く(アウトプット)は別の力です。解説を見ながらだと「理解した気」になってしまいます。

明日、何も見ずにこの問題が解けるかテストしてみてください。それが本当の実力です。


【最強の暗記法:絞り込みリコールシート】

□ 問題: $\sin 80° \cos 170° – \cos 80° \sin 170°$ を解くとき、 $80°$ と $170°$ をどう表すか?

□ 答: $80° = 90° – 10°$、 $170° = 180° – 10°$。 $90° – \theta$ と $180° – \theta$ の公式で $10°$ に揃える


□ 問題: $\sin(90° – 10°)$、 $\cos(180° – 10°)$ の値は?

□ 答: $\sin(90° – 10°) = \cos 10°$、 $\cos(180° – 10°) = -\cos 10°$


□ 問題: $\sin 80° \cos 170° – \cos 80° \sin 170°$ を $10°$ の三角関数で表すと?

□ 答: $\cos 10° \cdot (-\cos 10°) – \sin 10° \cdot \sin 10° = -\cos^2 10° – \sin^2 10° = -(\cos^2 10° + \sin^2 10°) = -1$


□ 問題: $50°$ と $40°$ の関係は?どの公式が使えるか?

□ 答:余角( $50° + 40° = 90°$ )。 $\cos 40° = \cos(90° – 50°) = \sin 50°$ が使える


□ 問題: $\frac{1}{\tan^2\theta}$ を $\sin$ と $\cos$ で表すとどうなるか?

□ 答: $\tan\theta = \frac{\sin\theta}{\cos\theta}$ より $\frac{1}{\tan^2\theta} = \frac{\cos^2\theta}{\sin^2\theta}$


□ 問題: $\cos^2\theta – 1$ を $\sin^2\theta$ で表すとどうなるか?

□ 答: $\cos^2\theta – 1 = -(1 – \cos^2\theta) = -\sin^2\theta$


□ 問題: $\frac{1}{\tan^2 50°} – \frac{1}{\cos^2 40°}$ で、 $\cos 40°$ を $50°$ で表すと?

□ 答: $\cos 40° = \cos(90° – 50°) = \sin 50°$ なので、 $\frac{1}{\cos^2 40°} = \frac{1}{\sin^2 50°}$


□ 問題:余角の公式が使える角度の条件は?

□ 答:2つの角の和が $90°$ であること( $50° + 40° = 90°$ など)


□ 問題:三角関数の計算で「第1象限に合わせる」とはどういう方針か?

□ 答:第2象限などの角を、補角・余角の公式で第1象限の角に還元し、使う公式をシンプルにする


【友達に教えてあげよう】

三角関数の式の値でつまずいている友達、周りにいませんか? (1) は $90° – \theta$ と $180° – \theta$ の公式で解けます。(2) は余角の関係に注目すると一気に解けます。

この解説を読んだあなたは、余角・補角の公式の活用法を押さえています。たった数分で、入試頻出の2パターンを身につけられる解説は、なかなかありません。

人に教えると、自分の理解が深まります。ラーニングピラミッドでも「教える」が最も定着率の高い学習法といわれています。このページのURLを送るだけでなく、 友達に解き方を自分の言葉で説明してみてください 。教えるつもりで解くと、曖昧だった部分がはっきりします。説明できたら、本物の理解です。

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