この記事を読むと、2つのグループに分かれたデータから、全体の平均と分散を求める流れがわかります。
【問題】
15個の値からなるデータがあり、そのうちの10個の値の平均値は $9$、分散は $3$、残り5個の値の平均値は $6$、分散は $9$ である。
(1) このデータの平均値を求めよ。
(2) このデータの分散を求めよ。
まずは自分の力で解いてみてください。「合計 ÷ 個数」で平均、「(2乗の平均) − (平均の2乗)」で分散を求める流れが基本です。
いまから解説します。自分の力で解きましたか?
【解説と解答】分割データの全体の平均・分散
導入
「2つのグループに分かれたデータの、全体の平均・分散を求めよ」という問題では、 各グループの合計や2乗の合計を足し合わせ、全体で割る のが基本です。
この単元でつまずきやすいポイントは以下の3つです。
- 平均:各グループの「個数 × 平均」の合計を、全体の個数で割る
- 分散:「(2乗の平均) − (平均の2乗)」の公式を使う。各グループの2乗の平均は 分散 + (平均)$^2$ で求まる
- 分散を「各グループの分散の平均」で求めてしまう 誤り に注意する
一緒に見ていきましょう。
「解き方」を思い出すための取っ掛かり(初心者向け)
ステップ1:全体の平均を求める
第1群(10個)の合計は $10 \times 9 = 90$、第2群(5個)の合計は $5 \times 6 = 30$ です。全体の合計は $90 + 30 = 120$、個数は $15$ なので、平均は $\frac{120}{15} = 8$ です。
なぜここから始めるか: 分散を求めるには全体の平均が必要です。先に平均を押さえます。
ステップ2:各グループの「2乗の合計」を求める
分散 $s^2$ と平均 $\bar{x}$ の関係式 $s^2 = \overline{x^2} – (\bar{x})^2$ を変形すると、 2乗の平均 $\overline{x^2} = s^2 + (\bar{x})^2$ です。
第1群: $3 + 9^2 = 3 + 81 = 84$(2乗の平均)、2乗の合計は $10 \times 84 = 840$
第2群: $9 + 6^2 = 9 + 36 = 45$(2乗の平均)、2乗の合計は $5 \times 45 = 225$
ステップ3:全体の分散を求める
全体の2乗の平均は $\frac{840 + 225}{15} = \frac{1065}{15} = 71$ です。分散は $(2乗の平均) – (平均の2乗) = 71 – 8^2 = 71 – 64 = 7$ です。
使う武器(公式・定理)
1. 全体の平均(加重平均)
$n_1$ 個のデータ(平均 $\bar{x}_1$)と $n_2$ 個のデータ(平均 $\bar{x}_2$)を合わせたとき、全体の平均は、
$$ \bar{x} = \frac{n_1 \bar{x}_1 + n_2 \bar{x}_2}{n_1 + n_2} = \frac{\text{合計}}{\text{全体の個数}} $$
です。各グループの合計( $n \times \bar{x}$ )を足して、全体の個数で割ります。
2. 分散の別公式「(2乗の平均) − (平均の2乗)」
分散 $s^2$ は、
$$ s^2 = \overline{x^2} – (\bar{x})^2 $$
と表せます。変形すると 2乗の平均 $\overline{x^2} = s^2 + (\bar{x})^2$ です。
3. 各グループの2乗の合計の求め方
分散 $s^2$ と平均 $\bar{x}$ がわかっているとき、2乗の平均は $\overline{x^2} = s^2 + (\bar{x})^2$ なので、2乗の合計は $n \times \overline{x^2} = n \times (s^2 + \bar{x}^2)$ です。
既習の方はこのセクションを読み飛ばして構いません。
思考のプロセス(Step by Step)
(1) 全体の平均値を求める
Step 1:各グループの合計を求める
第1群(10個、平均 $9$):合計 $10 \times 9 = 90$
第2群(5個、平均 $6$):合計 $5 \times 6 = 30$
Step 2:全体の合計と平均を求める
全体の合計は $90 + 30 = 120$、個数は $15$ なので、
$$ \bar{x} = \frac{120}{15} = 8 $$
解答 (1) $\quad \bar{x} = 8$
(2) 全体の分散を求める
Step 1:各グループの2乗の平均を求める
分散の公式 $s^2 = \overline{x^2} – (\bar{x})^2$ を変形すると $\overline{x^2} = s^2 + (\bar{x})^2$ です。
第1群: $\overline{x^2} = 3 + 9^2 = 3 + 81 = 84$
第2群: $\overline{x^2} = 9 + 6^2 = 9 + 36 = 45$
Step 2:各グループの2乗の合計を求める
第1群: $10 \times 84 = 840$
第2群: $5 \times 45 = 225$
全体の2乗の合計は $840 + 225 = 1065$ です。
Step 3:全体の2乗の平均を求める
$$ \overline{x^2} = \frac{1065}{15} = 71 $$
Step 4:分散の公式で全体の分散を求める
$$ s^2 = \overline{x^2} – (\bar{x})^2 = 71 – 8^2 = 71 – 64 = 7 $$
解答 (2) $\quad s^2 = 7$
解答(まとめ)
(1) 平均値 $\bar{x} = 8$
(2) 分散 $s^2 = 7$
【まとめ】分割データの全体の平均・分散のポイント
- 平均:各グループの「個数 × 平均」の合計 ÷ 全体の個数
- 分散:「(2乗の平均) − (平均の2乗)」の公式を使う
- 各グループの2乗の平均は $\overline{x^2} = s^2 + (\bar{x})^2$ で求まる
- 分散は 各グループの分散の単純平均ではない。全体の平均との偏差で計算する
【解き直しのすすめ】本当に理解できているか確認する
「わかったつもり」を防ぐには、 何も見ずに自分の手で解き直す ことが大切です。
解説を読む(インプット)と、自分で解く(アウトプット)は別の力です。解説を見ながらだと「理解した気」になってしまいます。
明日、何も見ずにこの問題が解けるかテストしてみてください。それが本当の実力です。
【最強の暗記法:絞り込みリコールシート】
□ 問題:2つのグループ(個数 $n_1$, $n_2$、平均 $\bar{x}_1$, $\bar{x}_2$)を合わせたとき、全体の平均は?
□ 答: $\bar{x} = \frac{n_1 \bar{x}_1 + n_2 \bar{x}_2}{n_1 + n_2}$ (合計 ÷ 全体の個数)
□ 問題:分散の別公式「(2乗の平均) − (平均の2乗)」を式で表すと?
□ 答: $s^2 = \overline{x^2} – (\bar{x})^2$
□ 問題:分散 $s^2$ と平均 $\bar{x}$ がわかっているとき、2乗の平均 $\overline{x^2}$ は?
□ 答: $\overline{x^2} = s^2 + (\bar{x})^2$
□ 問題:第1群(10個、平均9、分散3)の2乗の合計は?
□ 答:2乗の平均 $= 3 + 81 = 84$、2乗の合計 $= 10 \times 84 = 840$
□ 問題:分割データの全体の分散を、各グループの分散の平均で求めてはいけない理由は?
□ 答:分散は「全体の平均」との偏差の2乗の平均。各グループの平均は全体の平均と異なるため、単純平均では誤りになる
□ 問題:全体の分散を求める手順は?
□ 答:①各グループの2乗の平均 $s^2 + \bar{x}^2$ を求める ②2乗の合計を足して全体の2乗の平均を求める ③$(2乗の平均) – (平均の2乗)$ で分散を求める
□ 問題:本問で全体の平均が $8$ になる理由は?
□ 答:合計 $10 \times 9 + 5 \times 6 = 90 + 30 = 120$、 $120 \div 15 = 8$
□ 問題:本問で全体の分散が $7$ になる計算は?
□ 答:2乗の平均 $= \frac{840+225}{15} = 71$、分散 $= 71 – 8^2 = 7$
□ 問題:「加重平均」とは何か?
□ 答:個数(重み)を考慮した平均。 $\frac{n_1 \bar{x}_1 + n_2 \bar{x}_2}{n_1 + n_2}$ のように、各グループの「個数×平均」を足して全体の個数で割る
□ 問題:2乗の合計から2乗の平均を求めるには?
□ 答:2乗の合計 ÷ 個数
【友達に教えてあげよう】
分割データの全体の平均・分散で、「2乗の平均をどう求めるか」がピンとこない友達、周りにいませんか?
この解説を読んだあなたは、「合計で平均」「$s^2 + \bar{x}^2$ で2乗の平均」という流れを押さえています。たった数分で、入試頻出のパターンを身につけられる解説は、なかなかありません。
人に教えると、自分の理解が深まります。ラーニングピラミッドでも「教える」が最も定着率の高い学習法といわれています。このページのURLを送るだけでなく、 友達に解き方を自分の言葉で説明してみてください 。教えるつもりで解くと、曖昧だった部分がはっきりします。説明できたら、本物の理解です。
もし周りに同じ問題で悩んでいる友達がいたら、このページのURLを送ってあげてください。あなたの一言が、友達の「わからない」を「わかった!」に変えるかもしれません。