この記事を読むと、パラメータ付き二次関数について、「すべての$x$」「半直線$x\geqq0$」「閉区間$\left[a,a+1\right]$」それぞれで不等号が常に成り立つ条件を、平方完成・増減・区間の端で整理する流れがわかります。
【問題】
$a$を定数とする関数
$$ f(x)=x^2+2x-a^2+5 $$
について、次のそれぞれの条件を満たすような$a$の値の範囲を求めよ。
(1)すべての$x$について、$f(x)>0$である。
(2)$x\geqq0$を満たすすべての$x$について、$f(x)>0$である。
(3)$a\leqq x\leqq a+1$を満たすすべての$x$について、$f(x)\leqq0$である。
※名城大学を題材とした問題です。
いまから解説します。
自分の力で解きましたか?
【二次関数 パラメータ 不等号が常に成り立つ条件】解説と解答
導入
二次関数はまず平方完成して「頂点が見える形」にすると、増減や最小値・最大値が読みやすくなります。係数が正なので下に凸であり、条件によっては「最小値だけ見ればよい」「閉区間では凸関数だから最大は両端」のように論点が変わります。
取っ掛かりは次の順番です。
- $f(x)=\left(x+1\right)^2+\left(4-a^2\right)$のように平方完成して頂点を確かめる。
- 「すべての$x$」は基本的に最小値が正です。
- 「$x\geqq0$だけ」は増減でその範囲の最小がどこかを決める。
- 「閉区間で$\leqq0$が常に」は下に凸なので、その閉区間での最大値が両端に出ます。
使う武器(公式・定理)
既習の方は読み飛ばして大丈夫です。
- 平方完成:$x^2+2x=\left(x+1\right)^2-1$
- 係数が正の二次関数は下に凸:実数全体では最小値は頂点、閉区間では最大値は両端のどちらか
- 増減:$f'(x)=2x+2=2\left(x+1\right)$より$x>-1$で増加、$x<-1$で減少
思考のプロセス(Step by Step)
まず共通に平方完成します。
$$ \begin{aligned} f(x)&=x^2+2x-a^2+5\ &=\left(x+1\right)^2-1-a^2+5\ &=\left(x+1\right)^2+\left(4-a^2\right) \end{aligned} $$
頂点は$\left(-1,4-a^2\right)$です。
(1)すべての$x$で$f(x)>0$
$f(x)$は下に凸なので、実数全体での最小値は頂点の$y$座標です。よって
$$ 4-a^2>0 $$
が必要十分です。したがって
$$ a^2<4 \quad \Leftrightarrow \quad -2<a<2 $$
です。
(2)$x\geqq0$で$f(x)>0$
$x\geqq0$では$f'(x)=2\left(x+1\right)>0$となり(等号は$x=0$で$f'(0)=2>0$)、$\left[0,\infty\right)$で$f(x)$は狭義単調増加です。したがってこの範囲での最小値は$x=0$での値です。
$$ f(0)=0+0-a^2+5=-a^2+5 $$
より条件は
$$ -a^2+5>0 \quad \Leftrightarrow \quad a^2<5 $$
です。したがって
$$ -\sqrt{5}<a<\sqrt{5} $$
です。
(3)$a\leqq x\leqq a+1$で$f(x)\leqq0$
$f(x)$は下に凸なので、閉区間$\left[a,a+1\right]$における最大値は両端$x=a$,$x=a+1$のいずれかに達します(最小が頂点でも、最大は端です)。
そこでまず両端を計算します。
$$ f(a)=a^2+2a-a^2+5=2a+5 $$
また
$$ \begin{aligned} f(a+1)&=\left(a+1\right)^2+2\left(a+1\right)-a^2+5\ &=\left(a^2+2a+1\right)+\left(2a+2\right)-a^2+5\ &=4a+8 \end{aligned} $$
です。
両端で$\leqq0$ならば、その間でも$\leqq0$です(下に凸なので両端が$\leqq0$なら、その上に張られるグラフはmax{f(a),f(a+1)}が$\leqq0$で支配されます)。
よって必要十分条件は
$$ 2a+5\leqq0 \quad \text{かつ} \quad 4a+8\leqq0 $$
です。これは
$$ a\leqq -\frac{5}{2} \quad \text{かつ} \quad a\leqq -2 $$
となり、より強い条件だけが残って
$$ a\leqq -\frac{5}{2} $$
です。
解答まとめ
(1)
$$ -2<a<2 $$
(2)
$$ -\sqrt{5}<a<\sqrt{5} $$
(3)
$$ a\leqq -\frac{5}{2} $$
【パラメータ付き二次関数のまとめ】
- 実数全体で常に正は、下に凸なら最小値が正です。
- 半直線だけは増減で最小がどこかを決めるのがコツです。
- 閉区間で常に$\leqq0$は、下に凸なら両端$\leqq0$が実質しおりになりやすいです。
【不等号条件を自力で確かめるために】解き直しのすすめ
入力で読んだだけでは「見ればわかった気」になりやすいですが、アウトプットでは一度見ずに平方完成から進められるかが実力になります。
次をノートに書いてみてください。
- $\left(x+1\right)^2+\left(4-a^2\right)$までできるか
2.(2)で$x\geqq0$の最小が$x=0$になる理由を$f'(x)$で説明できるか
3.(3)で両端だけ見ればよい理由を「下に凸」を一言で結べるか
明日、何も見ずにこの問題が解けるかテストしてみてください。
それが本当の実力です。
【最強の暗記法:絞り込みリコールシート】
□ 問題:$f(x)=x^2+2x-a^2+5$を平方完成するとどうなりますか?
□ 答:$f(x)=\left(x+1\right)^2+\left(4-a^2\right)$です。
□ 問題:頂点の座標はどこですか?
□ 答:$\left(-1,4-a^2\right)$です。
□ 問題:(1)で$f(x)>0$がすべての$x$で成り立つとき、まず見るべき量は何ですか?
□ 答:実数全体での最小値です。
□ 問題:(1)の条件は$a$でどう書けますか?
□ 答:$-2<a<2$です。
□ 問題:(2)で$x\geqq0$における$f(x)$の増減はどうなりますか?
□ 答:$\left[0,\infty\right)$で単調増加です。
□ 問題:(2)で$x\geqq0$での最小値はどこでしたか?
□ 答:$x=0$です。
□ 問題:(2)の条件は$a$でどう書けますか?
□ 答:$-\sqrt{5}<a<\sqrt{5}$です。
□ 問題:(3)で閉区間$\left[a,a+1\right]$に注目するとき、下に凸な二次関数の最大値はどこにありますか?
□ 答:両端$x=a$,$x=a+1$のどちらかです。
□ 問題:$f(a)$を$a$だけで計算するとどうなりますか?
□ 答:$f(a)=2a+5$です。
□ 問題:$f(a+1)$はどうなりますか?
□ 答:$f(a+1)=4a+8$です。
□ 問題:(3)の最終的な$a$の条件は?
□ 答:$a\leqq -\dfrac{5}{2}$です。
□ 問題:(3)で両端だけ確認してよい理由を一言でいうと?
□ 答:下に凸なので閉区間の最大は両端です。
□ 問題:(2)と(1)で範囲が変わるのはなぜですか?
□ 答:見る$x$の範囲が違うので最小値が変わるからです。
【友達に教えてあげよう】
二次関数にパラメータがついたとき、「どこで最小?」が変わってつらい友達、周りにいませんか?
この解説を読んだあなたは、平方完成で頂点を見せてから、条件ごとに見る範囲と増減を決める流れがそろっています。
友達に説明するときほど、自分の頭の中でグラフが動くようになります。説明できるレベルまで持っていくと、試験でもパニックになりにくいです。
もし近くに同じタイプで迷っている友達がいたら、このページのURLを送ってあげてください。あなたの一言が、友達の「式は書けるのに結論が薄い」を変えるきっかけになるかもしれません。