$\alpha=36^\circ$ で $\cos36^\circ,\cos72^\circ$ を求める方法を丁寧に解説

この記事を読むと、$\alpha=36^\circ$ の条件で三角方程式を使い、$\cos36^\circ$ と $\cos72^\circ$ を論理的に導く手順がわかります。

  1. $\cos36^\circ$ と $\cos72^\circ$ の求め方|$\sin3\alpha=\sin2\alpha$ から導く

【問題】

次の問題を考えます。

$$ \alpha=36^\circ\ \text{のとき、等式}\ \sin3\alpha=\sin2\alpha\ \text{が成り立つことを示し、}\cos36^\circ\ \text{の値を求めよ。} $$

$$ \text{また、}\cos72^\circ\ \text{の値を求めよ。} $$

※問題番号80・発展例題139を題材とした問題です。

いまから解説します。
自分の力で解きましたか?


【解説と解答】$\cos36^\circ$ と $\cos72^\circ$ を三角恒等式で導出

導入

この問題の本質は、与えられた等式を確認して終わりではなく、そこから $\cos36^\circ$ の方程式を作ることです。
つまり「等式の確認」と「値の導出」をつなげるのがポイントです。

取っ掛かりは次の順番です。

  1. $\alpha=36^\circ$ を代入して、$\sin3\alpha=\sin2\alpha$ が成り立つことを確認します。
  2. 次に加法定理・倍角公式で $\sin3\alpha$ と $\sin2\alpha$ を $\sin\alpha,\cos\alpha$ で表します。
  3. $c=\cos36^\circ$ と置いて二次方程式を作り、正の解を選びます。
  4. 最後に $\cos72^\circ=2\cos^2 36^\circ-1$ で求めます。

使う武器(公式・定理)

既習者は読み飛ばして大丈夫です。

  • $\sin2\alpha=2\sin\alpha\cos\alpha$
  • 三倍角($\sin$の三乗の形):$\sin3\alpha=3\sin\alpha-4\sin^{3}\alpha$(下の導出の通り、$\sin\alpha$の三乗の項が出ます。$4\sin3\alpha$ ではありません)
  • $\sin^2\alpha+\cos^2\alpha=1$
  • $\cos2\theta=1-2\sin^2\theta$ または $\cos2\theta=2\cos^2\theta-1$

三倍角が上の形になる理由(加法定理) $3\alpha=2\alpha+\alpha$ とみなすと、

$$ \begin{aligned} \sin3\alpha&=\sin\left(2\alpha+\alpha\right)\ &=\sin2\alpha\cos\alpha+\cos2\alpha\sin\alpha\ &=2\sin\alpha\cos^2\alpha+\left(1-2\sin^2\alpha\right)\sin\alpha \end{aligned} $$

ここで $\cos^2\alpha=1-\sin^2\alpha$ を代入して整理すると、

$$ \begin{aligned} \sin3\alpha&=2\sin\alpha\left(1-\sin^2\alpha\right)+\sin\alpha-2\sin^3\alpha\ &=3\sin\alpha-4\sin^3\alpha \end{aligned} $$

となります。暗記だけで不安なときは、この流れを一度ノートに写すと抜けにくいです。

なぜこれを使うかというと、角度の値を求める問題を「$\cos\alpha$ の代数方程式」に落とせるからです。

思考のプロセス(Step by Step)

(1) $\sin3\alpha=\sin2\alpha$ の確認

$\alpha=36^\circ$ なので

$$ 3\alpha=108^\circ,\ 2\alpha=72^\circ $$

です。
さらに

$$ \sin108^\circ=\sin\left(180^\circ-72^\circ\right)=\sin72^\circ $$

より、

$$ \sin3\alpha=\sin2\alpha $$

が確かに成り立ちます。

(2) $\cos36^\circ$ を求める

次に、等式

$$ \sin3\alpha=\sin2\alpha $$

へ公式を代入します。

$$ 3\sin\alpha-4\sin^3\alpha=2\sin\alpha\cos\alpha $$

$\alpha=36^\circ$ では $\sin\alpha\neq0$ なので両辺を $\sin\alpha$ で割ると

$$ 3-4\sin^2\alpha=2\cos\alpha $$

ここで $\sin^2\alpha=1-\cos^2\alpha$ を使うと

$$ 3-4\left(1-\cos^2\alpha\right)=2\cos\alpha $$

$$ 4\cos^2\alpha-2\cos\alpha-1=0 $$

$c=\cos\alpha$ とおくと

$$ 4c^2-2c-1=0 $$

より

$$ c=\frac{2\pm\sqrt{4+16}}{8} =\frac{1\pm\sqrt5}{4} $$

$\alpha=36^\circ$ は第1象限なので $\cos\alpha>0$ です。
したがって

$$ \cos36^\circ=\frac{1+\sqrt5}{4} $$

(3) $\cos72^\circ$ を求める

倍角公式を使って

$$ \cos72^\circ=\cos\left(2\cdot36^\circ\right)=2\cos^2 36^\circ-1 $$

です。
先ほどの値を代入すると

$$ \cos72^\circ =2\left(\frac{1+\sqrt5}{4}\right)^2-1 =\frac{\sqrt5-1}{4} $$

解答

$$ \cos36^\circ=\frac{1+\sqrt5}{4},\quad \cos72^\circ=\frac{\sqrt5-1}{4} $$


【まとめ】$\cos36^\circ$ 導出のコツ

  • 等式成立の確認は、補角の関係 $\sin\left(180^\circ-\theta\right)=\sin\theta$ を使います。
  • 値を求める段階では、三倍角公式と倍角公式で代数方程式に変換します。
  • $\cos36^\circ$ は二次方程式の2解のうち、第1象限条件で正の解を採用します。
  • $\cos72^\circ$ は倍角公式で直ちに求められます。

【解き直しのすすめ】公式運用の定着法

このタイプは、答えを覚えるより「導く手順」を覚えることが重要です。
公式を正しく選び、条件で解を絞る流れを毎回同じ順序で実行してください。

インプットで理解し、アウトプットで再現性を作るのが得点化の近道です。
三倍角公式を使う問題を2〜3問続けて解くと、式変形が安定します。

明日、何も見ずにこの問題が解けるかテストしてみてください。
それが本当の実力です。


【最強の暗記法:絞り込みリコールシート】

□ 問題:$\alpha=36^\circ$ のとき $3\alpha$ と $2\alpha$ は何度ですか。

□ 答:$3\alpha=108^\circ,\ 2\alpha=72^\circ$ です。


□ 問題:$\sin108^\circ$ を $\sin72^\circ$ に変換できる理由は何ですか。

□ 答:$\sin\left(180^\circ-\theta\right)=\sin\theta$ の公式を使えるからです。


□ 問題:$\sin3\alpha$ の公式は何ですか。

□ 答:$\sin3\alpha=3\sin\alpha-4\sin^3\alpha$ です。


□ 問題:$\sin2\alpha$ の公式は何ですか。

□ 答:$\sin2\alpha=2\sin\alpha\cos\alpha$ です。


□ 問題:$3\sin\alpha-4\sin^3\alpha=2\sin\alpha\cos\alpha$ の次に何をしますか。

□ 答:$\sin\alpha\neq0$ を確認して、両辺を $\sin\alpha$ で割ります。


□ 問題:$\sin^2\alpha$ を $\cos\alpha$ に統一する式は何ですか。

□ 答:$\sin^2\alpha=1-\cos^2\alpha$ です。


□ 問題:導かれる二次方程式は何ですか。

□ 答:$4\cos^2\alpha-2\cos\alpha-1=0$ です。


□ 問題:$\cos36^\circ$ は二次方程式のどちらの解を採用しますか。

□ 答:第1象限なので正の解 $\frac{1+\sqrt5}{4}$ を採用します。


□ 問題:$\cos72^\circ$ を $\cos36^\circ$ から求める公式は何ですか。

□ 答:$\cos2\theta=2\cos^2\theta-1$ を使います。


□ 問題:$\cos72^\circ$ の値は何ですか。

□ 答:$\frac{\sqrt5-1}{4}$ です。


□ 問題:この問題で得点差がつくポイントはどこですか。

□ 答:二次方程式の解の選択で、象限条件から符号を正しく判断できるかです。


□ 問題:この解法は他のどんな問題に応用できますか。

□ 答:特定角の三角比を、加法定理・倍角・三倍角で導出する問題全般に応用できます。


【友達に教えてあげよう】

この問題で「等式は確認できるけれど値が出せない」と感じる友達は多いです。
あなたはもう、等式から代数方程式へつなげる手順を理解できています。

この手順は、三角比の有名角を導く問題で何度も使えます。
短い問題文から深い計算へ入る練習として、とても価値があります。

友達に説明すると、あなた自身の理解もさらに強くなります。
「なぜ正の解を選ぶか」を言葉で説明できると、本当に定着した状態です。

もし同じ問題で悩んでいる友達がいたら、このページのURLを送ってあげてください。
あなたの一言が、友達の「わからない」を「解ける」に変えるきっかけになります。

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