【高校化学】熱容量と熱量の計算方法!比熱容量を使った温度上昇の求め方をわかりやすく解説

【問題】

92 熱容量・熱量

質量 $400\text{g}$ の鉄製の容器に,水 $600\text{g}$ が入っている。 鉄の比熱容量を $0.45\text{J}/(\text{g}\cdot\text{K})$ ,水の比熱容量を $4.2\text{J}/(\text{g}\cdot\text{K})$ とする。

(1) 鉄製の容器 $400\text{g}$ の熱容量を求めよ。 (2) 水 $600\text{g}$ の熱容量を求めよ。 (3) $8.1 \times 10^3\text{J}$ の熱量を与えたとき,上昇する温度は何 $\text{K}$ か。


【まずは自分の力で考えてみましょう】

「熱容量」と「比熱容量」。 似たような名前で混乱していませんか? 「どっちがどっちだっけ…?」となって公式を丸暗記しようとすると、物理はつまらなくなってしまいます。

まずは公式を見ずに、「単位」に注目して計算式を作ってみてください。 …どうですか? 自分の力で解けましたか?

それでは、解説を始めます!


【解説】熱容量と比熱容量の違いをマスターしよう

こんにちは、スマスクの「先生」です。 今日は物理基礎の「熱」の分野で、非常に重要な計算問題を解説します。

この問題の最大のポイントは、「容器と水はセットで温まる」 ということです。 お鍋でお湯を沸かすとき、水だけじゃなくてお鍋自体も熱くなりますよね? だから、熱を加えたときの温度変化を考えるときは、「容器の熱容量」と「水の熱容量」を合体させて考える必要があります。

(1) 鉄製容器の熱容量

まずは言葉の定義をおさらいしましょう。

  • **比熱容量( $ c $):物質 $ 1\text{g} $ ** を $1\text{K}$ 上昇させるのに必要な熱量。単位は $\text{J}/(\text{g}\cdot\text{K})$ 。
  • **熱容量( $ C $): その物体 全体** を$ 1\text{K} $ 上昇させるのに必要な熱量。単位は $\text{J}/\text{K}$ 。

つまり、比熱容量( $1\text{g}$ あたりのパワー)に質量(何グラムあるか)を掛ければ、その物体の熱容量になります。 公式で書くとこれです。

$$ C = mc $$

今回は、鉄の質量 $m = 400\text{g}$ 、比熱容量 $c = 0.45\text{J}/(\text{g}\cdot\text{K})$ なので、これらを掛け算すればOKです。

(2) 水の熱容量

これも(1)と同じ考え方です。 物質が「水」に変わっただけですね。

水の質量 $m = 600\text{g}$ 、比熱容量 $c = 4.2\text{J}/(\text{g}\cdot\text{K})$ を掛け算して、水全体を $1\text{K}$ 上昇させるのに必要なエネルギー(熱容量)を求めましょう。

(3) 全体の上昇温度

ここがこの問題のゴールです。 「熱量 $Q$ を与えたら、温度が $\Delta T$ 上がった」という関係式を作りたいのですが、温める対象は「鉄の容器」と「水」の両方です。

こういうときは、「全体としての熱容量」 を考えます。 鉄の容器を $1\text{K}$ 上げるのに必要なエネルギー((1)の答え)と、水を $1\text{K}$ 上げるのに必要なエネルギー((2)の答え)を足し合わせれば、「この装置全体を $1\text{K}$ 上げるのに必要なエネルギー」になりますよね。

全体の熱容量 $$ C{\text{total}} = C{Fe} + C_{water} $$

そして、熱量の公式を使います。

$$ Q = C_{\text{total}} \Delta T $$

ここに、与えられた熱量 $Q = 8.1 \times 10^3\text{J}$ を代入すれば、上昇温度 $\Delta T$ が求まります。 計算ミスに気をつけて解いていきましょう!


【解答】

(1) 鉄製の容器の熱容量を $C_1$ とする。 $C = mc$ より、

$$ C_1 = 400 \times 0.45 = 180 $$

答え: ** $180\text{J}/\text{K}$ **

(2) 水の熱容量を $C_2$ とする。 $C = mc$ より、

$$ C_2 = 600 \times 4.2 = 2520 $$

答え: ** $2520\text{J}/\text{K}$ ** (有効数字2桁で答えるなら $2.5 \times 10^3\text{J}/\text{K}$ ですが、計算途中なのでそのままにしておきます)

(3) 容器と水を含めた全体の熱容量 $C$ は、

$$ C = C_1 + C_2 = 180 + 2520 = 2700\text{J}/\text{K} $$

与えられた熱量 $Q = 8.1 \times 10^3\text{J} = 8100\text{J}$ である。 上昇する温度を $\Delta T$ とすると、$ Q = C \Delta T $ より、

$$ 8100 = 2700 \times \Delta T $$

これより、

$$ \Delta T = \frac{8100}{2700} = \frac{81}{27} = 3.0 $$

答え: ** $3.0\text{K}$ **


【まとめ】熱容量計算の重要ポイント

今回の問題のポイントを整理しましょう。

  • 比熱容量 $c$ と熱容量 $C$ の関係: $C = mc$ (熱容量 = 質量 × 比熱容量)。単位を見て確認しよう!
  • 容器と液体はセット: 容器に入った液体を加熱するときは、それぞれの熱容量を足し合わせて「全体の熱容量」として考えるのがコツ。
  • 基本公式: $Q = C \Delta T$ (熱量 = 熱容量 × 温度変化)。これを使いこなそう。

【解き直しのすすめ】「計算できる」と「理解している」は違う!

解説を読んで「なるほど、足して割るだけか」と思いましたか? でも、物理の怖さはここからです。

今すぐ、数字を変えて自分で問題を作って解いてみてください。 例えば、「もし鉄の容器が200gだったら?」「水が半分だったら?」 そうやって自分で問いかけることで、公式の意味が脳に深く刻まれます。

何も見ずに、白い紙にスラスラと式が書けるようになるまで、必ず解き直しをしてくださいね!


【質問がある方はスマスク先生 LINE 公式アカウントへ】

「比熱の単位の意味がいまいちピンとこない…」「計算の桁数でいつも間違える…」 そんな悩みがあれば、遠慮なく私に相談してください。

スマスク先生の公式 LINE では、物理の基礎から応用まで、あなたのレベルに合わせたアドバイスを送っています。 「この問題のここがわからない!」と写真を送ってくれれば、個別に解説もしますよ。

下のボタンから友だち追加して、スタンプを一つ送ってくださいね!待っています。

スマスク先生LINE公式アカウント

QRコード

友だち追加

関連記事

【数学II解説】剰余の定理で余りを求める3つのパターン!難問x^102も複素数なら一撃?

350 g入りと表示されたお菓子の袋の山から,無作為に 100 袋を抽出して重さを調べたところ,平均値が 349.2 g であった。母標準偏差が 4.0 g であるとき,1袋あたりの重さは表示通りでないと判断してよいか。有意水準 5 %で検定せよ。

【数学II解説】領域における最大値・最小値の求め方!図形的意味を理解して完答を目指そう

PAGE TOP