【数学II解説】領域における最大値・最小値の求め方!図形的意味を理解して完答を目指そう

【問題】

186 点 $(x, y)$ が連立不等式 $\begin{cases} x+y \geqq 2 \ x^2+y^2 \leqq 4 \end{cases}$ の表す領域 $D$ を動くとき,次の問いに答えよ。

(1) $-2x + y$ の最大値,最小値を求めよ。 (2) $2x + y$ の最大値,最小値を求めよ。 (3) $x^2 + y^2 – 2x$ の最大値,最小値を求めよ。 (立命館大)


⚠️ 生徒のみなさんへ ⚠️ 解説を見る前に、まずはペンを持って自分のノートに解いてみましょう。 「領域における最大・最小」は入試の頻出テーマです。 まずは領域 $D$ を正確に図示することからスタートです!

…自分の力で解きましたか? それでは、解説を始めます。どこでつまずいたかを確認しながら読んでくださいね。


【解説と解答】 領域における最大・最小問題

こんにちは、スマスクの数学講師です。 今回は、数学 II の「図形と方程式」から、領域における最大・最小問題を解説します。 この問題のポイントは、式を「図形的な意味」で捉え直すことです。 単なる計算問題として解こうとすると、思わぬ落とし穴にハマりますよ!

領域 $D$ の確認

まずは、条件の不等式が表す領域を図示しましょう。

  1. $x^2 + y^2 \leqq 4$ :原点 $O$ を中心とする半径 $2$ の円の周および内部
  2. $x+y \geqq 2$ :直線 $y = -x + 2$ の上側(境界線含む)。

この 2 つの共通部分は、第 1 象限にある「円の弦と弧で囲まれた弓形の部分」になります。 領域の頂点(交点)は、以下の 2 点です。

  • $(2, 0)$
  • $(0, 2)$

(1) $-2x + y$ の最大・最小

方針:直線と見なして切片を動かす 与えられた式を $= k$ とおきます。

$$ -2x + y = k \quad \Longleftrightarrow \quad y = 2x + k $$

これは「傾き $2$, $y$ 切片 $k$ の直線」を表します。 この直線が領域 $D$ と共有点を持つ範囲で動くとき、$k$ (切片)が最大・最小になる瞬間を探します。

  • 最大値: 傾き $2$ の直線を左上に動かしていくと、最も上側で通る点は $(0, 2)$ です。 $x=0, y=2$ のとき、

$$ k = -2(0) + 2 = 2 $$

  • 最小値: 直線を右下に動かしていくと、最も下側で通る点は $(2, 0)$ です。 $x=2, y=0$ のとき、

$$ k = -2(2) + 0 = -4 $$

解答 (1) 最大値 $2$, 最小値 $-4$


(2) $2x + y$ の最大・最小

方針:接するときを疑え! 同様に $= k$ とおきます。

$$ 2x + y = k \quad \Longleftrightarrow \quad y = -2x + k $$

これは「傾き $-2$, $y$ 切片 $k$ の直線」です。 今回は傾きが負なので、動きに注意が必要です。

  • 最大値: 直線を右上に動かしていくと、頂点 $(0, 2)$ や $(2, 0)$ ではなく、「円と接するとき」に $k$ が最大になりそうです。 原点と直線 $2x + y – k = 0$ の距離が、円の半径 $2$ と等しくなる条件を考えます。

$$ \frac{|-k|}{\sqrt{2^2 + 1^2}} = 2 $$

$$ |k| = 2\sqrt{5} $$

領域 $D$ は第 1 象限にあるので、$k > 0$ より $k = 2\sqrt{5}$。 念のため接点を確認すると、接点は第 1 象限にあり、領域 $D$ 内に含まれます($x+y \geqq 2$ を満たす)。よってこれが最大値です。

  • 最小値: 直線を左下に動かしていくと、最も下側でぶつかるのは、境界線 $x+y=2$ 上の点です。 候補は端点の $(0, 2)$ か $(2, 0)$ です。

    • $(0, 2)$ のとき:$k = 2(0) + 2 = 2$
    • $(2, 0)$ のとき:$k = 2(2) + 0 = 4$

    小さい方の $2$ が最小値となります。

解答 (2) 最大値 $2\sqrt{5}$, 最小値 $2$


(3) $x^2 + y^2 – 2x$ の最大・最小

方針:距離の 2 乗として捉える この式は、平方完成することで「距離」の意味を持たせることができます。 与式 $= x^2 – 2x + 1 + y^2 – 1 = (x – 1)^2 + y^2 – 1$

ここで $(x – 1)^2 + y^2$ は、「点 $(1, 0)$ と 領域内の点 $(x, y)$ との距離の 2 乗」を表します。 つまり、点 $A(1, 0)$ からの距離が「一番遠い点」と「一番近い点」を探せば良いのです!

点 $A(1, 0)$ の位置を確認すると、線分($x$ 軸上の $0 \leqq x \leqq 2$)の中点であり、領域 $D$ の外側(境界線 $x+y=2$ より下側)にあります。

  • 最大値(最も遠い点): 図を見ると、点 $A(1, 0)$ から最も遠いのは、円周上の点 $(0, 2)$ であることがわかります。 $(x, y) = (0, 2)$ を代入すると、

$$ 0^2 + 2^2 – 2(0) = 4 $$

  • 最小値(最も近い点): 点 $A(1, 0)$ から領域 $D$ への最短距離は、直線 $x+y=2$ への垂線の足までの距離です。 点 $(1, 0)$ と直線 $x+y-2=0$ の距離 $d$ は、

$$ d = \frac{|1 + 0 – 2|}{\sqrt{1^2 + 1^2}} = \frac{1}{\sqrt{2}} $$

この垂線の足は線分上にあるので、これがそのまま最短距離となります。 求める値は「距離の 2 乗 $- 1$」なので、

$$ d^2 – 1 = \left( \frac{1}{\sqrt{2}} \right)^2 – 1 = \frac{1}{2} – 1 = -\frac{1}{2} $$

解答 (3) 最大値 $4$, 最小値 $-\frac{1}{2}$


【まとめ】 領域問題攻略のポイント

  • 1 次式 ($ax+by$) の最大・最小: $= k$ とおいて「直線の通過領域」として考えます。 最大・最小の候補は「領域の頂点」か「円との接点」のどちらかです。必ず図を描いて判断しましょう。
  • 2 次式 ($x^2+y^2 \dots$) の最大・最小「ある定点からの距離」と解釈できないか疑いましょう。 式だけで処理しようとせず、「一番近い点はどこ?」「遠い点はどこ?」と図形的に考えることが近道です。

【解き直しのすすめ】 自分の手で図を描く

(2) で「接する場合」を見落としたり、(3) で「単純に頂点を代入して終わり」にしてしまったりするミスが非常に多いです。 解説の図形的アプローチ(接線や距離)を、何も見ずに自分の図で再現できるか確認してください。 特に (3) の最小値が「垂線の足」になる感覚は、図を描かないとなかなか掴めませんよ!


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