【問題】
$\sin^2 35° + \sin^2 125°$ の値を求めよ。
まずは自分の力で解いてみてください。$\sin 125°$ をうまく変形できるかが鍵です。
いまから解説します。自分の力で解きましたか?
【解説と解答】三角関数の角度変換と相互関係で瞬時に求める
導入
三角関数の値の計算問題では、「そのまま計算する」よりも 角度をうまく変形して公式に当てはめる 方が圧倒的にラクになります。
とはいえ、「どの公式を、いつ思い出すか」が難しいですよね。公式を覚えていても、問題を見たときに ひらめかない という方は多いはずです。ここでは、 「どの順番で何を考えると、公式にたどり着けるか」 という取っ掛かりを、初心者向けに丁寧に説明します。
「公式を思い出す」ための取っ掛かり(初心者向け)
ステップ1:式の形に注目する
$\sin^2 35° + \sin^2 125°$ という式を見たら、まずこう考えます。
- 「 $\sin^2$ が2つ足し算されている」
- 「でも角度が $35°$ と $125°$ で違う」
ここで 「 $\sin^2\theta + \cos^2\theta = 1$ が使えないか?」 と疑ってみてください。この公式を使うには、 同じ角度の $\sin$ と $\cos$ を揃える 必要があります。
では、 $35°$ と $125°$ のどちらを変換すべきか です。
基本方針:第一象限に合わせる
$35°$ は第1象限( $0° < \theta < 90°$ )、 $125°$ は第2象限( $90° < \theta < 180°$ )の角です。三角関数の計算では、 「第1象限の角度に揃える」 という方針が有効です。補角の公式( $180° – \theta$ )や余角の公式( $90° – \theta$ )は、第2象限の角を第1象限に還元するためのものです。第1象限にそろえた方が、使える公式がシンプルになります。
- $35°$ を $125°$ に合わせる と、第2象限へ持ち込むことになり、 $\sin 35°$ を $125°$ に関する何かに変形することになります。 $35° = 125° – 90°$ と表しても、 $\sin(125° – 90°)$ の計算には 加法定理 が必要になり、式が複雑になります。
- $125°$ を $35°$ に合わせる と、第1象限へ還元することになります。 $125° = 180° – 55°$ 、 $55° = 90° – 35°$ というように、補角・余角の公式だけで $125°$ と $35°$ がつながります。加法定理は不要です。
つまり、 第1象限に合わせる という方針から、 $125°$ のほうを $35°$ に合わせにいく ことになります。だから「 $125°$ の $\sin$ を、 $35°$ に関係する何か(できれば $\cos 35°$ )に変形できないか?」と発想を転換します。
ステップ2:「魔法の角度」$90°$ と $180°$ を試す
三角関数では、 $90°$ と $180°$ が特別な角度です。補角の公式( $180° – \theta$ )と余角の公式( $90° – \theta$ )が使えるからです。
$125°$ に対して、こう自問してみましょう。
- 「 $125°$ は $180°$ から何を引いた角か?」 → $125° = 180° – 55°$
- 「 $55°$ は $90°$ から何を引いた角か?」 → $55° = 90° – 35°$
$35°$ が出てきました。これで $125°$ と $35°$ がつながる と気づけば、補角・余角の公式を思い出しやすくなります。
ステップ3:公式を「キーワード」で引き出す
- 「 $180° – \theta$ の形」→ 補角の公式 $\sin(180° – \theta) = \sin\theta$
- 「 $90° – \theta$ の形」→ 余角の公式 $\sin(90° – \theta) = \cos\theta$
問題で $125°$ が出たとき、「 $180°$ や $90°$ で分解できるか」をまず試す。そこから 補角・余角 というキーワードで公式を思い出す、という流れです。
この問題でつまずきやすいポイントは以下の3つです:
- $125°$ が特殊角でない ので、そのままでは計算できない
- $90°$ と $180°$ で分解する という発想が出てこない
- 「 $\sin^2\theta + \cos^2\theta = 1$ に持ち込みたい 」という目標を立てず、式を見ただけで諦めてしまう
「 $\sin^2$ が2つ」→「同じ角度の $\sin$ と $\cos$ に揃えたい」→「 $180°$ と $90°$ で分解」→「補角・余角の公式」という順番で考えると、公式がひらめきやすくなります。一緒に見ていきましょう。
使う武器(公式・定理)
1. 補角の公式
$$ \sin(180° – \theta) = \sin \theta $$
第2象限では $\sin$ が正のままなので、 $180°$ から引いた角の $\sin$ は、引いた角の $\sin$ と等しくなります。
2. 余角の公式
$$ \sin(90° – \theta) = \cos \theta $$
直角三角形で「 $90°$ から引いた角」は「もう一方の鋭角」に対応し、 $\sin$ と $\cos$ が入れ替わります。
3. 三角比の相互関係
$$ \sin^2 \theta + \cos^2 \theta = 1 $$
直角三角形における三平方の定理から導かれる、三角関数で最も重要な等式の1つです。
既習の方はこのセクションを読み飛ばして構いません。
思考のプロセス(Step by Step)
Step 1: $\sin 125°$ を変形する
$125°$ は $90°$ より大きく $180°$ より小さいので、第2象限の角です。
$125° = 180° – 55°$ とすると、補角の公式から、
$$ \sin 125° = \sin(180° – 55°) = \sin 55° $$
です。
Step 2: $\sin 55°$ を $\cos 35°$ に直す
次に $55° = 90° – 35°$ と見ると、余角の公式から、
$$ \sin 55° = \sin(90° – 35°) = \cos 35° $$
となります。
Step 3:元の式に代入して、相互関係を使う
よって、
$$ \sin^2 35° + \sin^2 125° = \sin^2 35° + \cos^2 35° = 1 $$
三角比の相互関係 $\sin^2\theta + \cos^2\theta = 1$ により、答えは $1$ です。
解答
$$ \sin^2 35° + \sin^2 125° = 1 $$
【まとめ】三角関数の角度変換で一気に求めるポイント
- 補角の公式 $\sin(180° – \theta) = \sin \theta$ で、第2象限の角を第1象限に直す
- 余角の公式 $\sin(90° – \theta) = \cos \theta$ で、 $\sin$ と $\cos$ を入れ替える
- 相互関係 $\sin^2\theta + \cos^2\theta = 1$ に持ち込めると、計算不要で答えが求まる
- 「角度を変形して、既知の公式に当てはめる」発想が、三角関数の計算問題ではとても重要です
【解き直しのすすめ】本当に理解できているか確認する
「わかったつもり」を防ぐには、 何も見ずに自分の手で解き直す ことが大切です。
- 解説を読む(インプット)と、自分で解く(アウトプット)は別の力です
- 解説を見ながらだと「理解した気」になってしまいます
明日、何も見ずにこの問題が解けるかテストしてみてください。それが本当の実力です。
【最強の暗記法:絞り込みリコールシート】
□ 問題: $\sin(180° – \theta)$ は $\sin\theta$ とどのような関係か?
□ 答: $\sin(180° – \theta) = \sin\theta$ (補角の公式、第2象限で $\sin$ は正)
□ 問題: $\sin(90° – \theta)$ は $\cos\theta$ とどのような関係か?
□ 答: $\sin(90° – \theta) = \cos\theta$ (余角の公式、直角三角形で $\sin$ と $\cos$ が入れ替わる)
□ 問題: $\sin^2\theta + \cos^2\theta$ の値はいくつか?
□ 答:常に $1$ (三角比の相互関係、三平方の定理から導かれる)
□ 問題: $125°$ を $180°$ から何度引いた角として表せるか?
□ 答: $125° = 180° – 55°$ なので、補角の公式で $\sin 125° = \sin 55°$ になる
□ 問題: $55°$ を $90°$ から引いた形で表すとどうなるか?
□ 答: $55° = 90° – 35°$ なので、余角の公式で $\sin 55° = \cos 35°$ になる
□ 問題: $\sin^2 35° + \sin^2 125°$ を求める際、最終的にどの公式を使うか?
□ 答: $\sin^2 125° = \cos^2 35°$ に変形した後、 $\sin^2\theta + \cos^2\theta = 1$ を使う
□ 問題:補角の公式が成り立つ理由(第2象限の $\sin$ の符号)は?
□ 答:第2象限では $y$ 座標が正なので、 $\sin$ ($y$ 座標/斜辺)は正のまま。 $180° – \theta$ の $\sin$ は $\theta$ の $\sin$ と等しい
□ 問題:余角の公式 $\sin(90° – \theta) = \cos\theta$ が成り立つ理由は?
□ 答:直角三角形で、 $90° – \theta$ がもう一方の鋭角に対応し、「対辺」と「隣辺」の役割が入れ替わるから
□ 問題: $\sin^2\theta + \cos^2\theta = 1$ は何から導かれるか?
□ 答:単位円または直角三角形の三平方の定理( $x^2 + y^2 = 1$ または $a^2 + b^2 = c^2$ )から
□ 問題:三角関数の計算問題で「角度の変形」が重要な理由は?
□ 答:特殊角でない角度でも、補角・余角の公式で既知の角度や $\sin/\cos$ の組み合わせに直すと、相互関係などを使って一気に求められるから
【友達に教えてあげよう】
この単元でつまずいている友達、周りにいませんか? 三角関数の「角度変形」は、最初は戸惑いやすいところです。
この解説を読んだあなたは、もう補角・余角の公式の使いどころを押さえています。たった数分で、入試頻出のパターンを身につけられる解説は、なかなかありません。
人に教えると、自分の理解が深まります。ラーニングピラミッドでも「教える」が最も定着率の高い学習法といわれています。このページのURLを送るだけでなく、 友達に解き方を自分の言葉で説明してみてください 。教えるつもりで解くと、曖昧だった部分がはっきりします。説明できたら、本物の理解です。
もし周りに同じ問題で悩んでいる友達がいたら、このページのURLを送ってあげてください。あなたの一言が、友達の「わからない」を「わかった!」に変えるかもしれません。