Sin関数の平行移動

この記事を読むと、$y=a\sin\left(b\theta-c\right)$のグラフから、平行移動の読み取りと係数比較で空欄補充を解く流れがわかります。

【問題】

関数 $$ y=a\sin\left(b\theta-c\right)\quad \left(a>0,\ b>0,\ 0\le c<2\pi\right)\cdots(1) $$ を考えます。

(1)$a=1,\ b=3,\ c=\dfrac{\pi}{2}$ のとき、この関数のグラフは $$ y=\sin\left(\boxed{\text{ア}}\theta\right) $$ のグラフを $\theta$ 軸方向へ $$ \dfrac{\pi}{\boxed{\text{イ}}} $$ だけ平行移動したものです。
また、この関数のグラフは $0\le\theta<\pi$ において $\theta$ 軸と $\boxed{\text{ウ}}$ 個の共有点をもちます。

(2)(1)のグラフが図のようになっているとき $$ a=\boxed{\text{エ}},\quad b=\boxed{\text{オ}},\quad c=\dfrac{\boxed{\text{カ}}}{\boxed{\text{キ}}}\pi $$ です。
また、このグラフと $y$ 軸との交点の座標は $$ \left(0,\ \dfrac{\boxed{\text{ク}}\sqrt{\boxed{\text{ケ}}}}{\boxed{\text{コ}}}\right) $$ です。

いまから解説します。
自分の力で解きましたか?


【三角関数のグラフ平行移動】解説と解答

導入

この問題は、式の形を $$ y=a\sin\left(b\theta-c\right)=a\sin\left(b\left(\theta-\dfrac{c}{b}\right)\right) $$ と見直せるかどうかが最初の分かれ目です。

取っ掛かりは次の3ステップです。

  1. まず $a,\ b,\ c$ を代入して、どのグラフをどれだけ平行移動した形かを確定します。
  2. 次に $\theta$ 軸との共有点は「$\sin$ が 0 になる条件」で数えます。
  3. 図からは、振幅で $a$、零点間隔で $b$、1点代入で $c$ を決めます。

使う武器(公式・定理)

既習の方は読み飛ばして大丈夫です。

  • 位相の見方:$y=\sin\left(b\theta-c\right)$ は $y=\sin\left(b\theta\right)$ を $\theta$ 軸方向に $\dfrac{c}{b}$ だけ平行移動した形です。
  • 零点条件:$\sin X=0\iff X=n\pi\ (n\in\mathbb{Z})$ です。
  • 振幅:$y=a\sin(\cdots)$ の最大値と最小値は $\pm a$ です。
  • 零点間隔:$y=\sin\left(b\theta-c\right)$ の隣り合う零点の間隔は $\dfrac{\pi}{b}$ です。

思考のプロセス(Step by Step)

(1)ア・イ・ウを求める

条件を代入すると $$ y=\sin\left(3\theta-\dfrac{\pi}{2}\right)=\sin\left(3\left(\theta-\dfrac{\pi}{6}\right)\right) $$ です。

したがって基準となるグラフは $$ y=\sin\left(3\theta\right) $$ で、これを $\theta$ 軸方向に $\dfrac{\pi}{6}$ だけ平行移動した形です。よって

  • ア $=3$
  • イ $=6$

です。

次に共有点です。$\theta$ 軸との共有点は $y=0$ の解なので $$ \sin\left(3\theta-\dfrac{\pi}{2}\right)=0 $$ より $$ 3\theta-\dfrac{\pi}{2}=n\pi $$ $$ \theta=\dfrac{(2n+1)\pi}{6} $$ となります。$0\le\theta<\pi$ に入るのは $$ \theta=\dfrac{\pi}{6},\ \dfrac{\pi}{2},\ \dfrac{5\pi}{6} $$ の3つなので

  • ウ $=3$

です。

(2)エ〜コを求める

図から最大値が $3$、最小値が $-3$ なので $$ a=3 $$ です。よって

  • エ $=3$

です。

零点は $\theta=\dfrac{\pi}{6}$ と $\theta=\dfrac{2\pi}{3}$ が読めます。差は $$ \dfrac{2\pi}{3}-\dfrac{\pi}{6}=\dfrac{\pi}{2} $$ です。これは隣り合う零点間隔 $\dfrac{\pi}{b}$ に等しいので $$ \dfrac{\pi}{b}=\dfrac{\pi}{2} $$ $$ b=2 $$ となり

  • オ $=2$

です。

次に $c$ です。$\theta=\dfrac{\pi}{6}$ は下向きに横切る零点なので、対応する角を $\pi$ とおくと $$ 2\cdot\dfrac{\pi}{6}-c=\pi $$ $$ \dfrac{\pi}{3}-c=\pi $$ $$ c=-\dfrac{2\pi}{3} $$ です。$0\le c<2\pi$ に直すと $$ c=\dfrac{4\pi}{3} $$ なので

  • カ $=4$
  • キ $=3$

です。

最後に $y$ 軸との交点は $\theta=0$ を代入して $$ y=3\sin\left(-\dfrac{4\pi}{3}\right)=3\cdot\dfrac{\sqrt{3}}{2}=\dfrac{3\sqrt{3}}{2} $$ です。したがって $$ \left(0,\dfrac{3\sqrt{3}}{2}\right) $$ となるので

  • ク $=3$
  • ケ $=3$
  • コ $=2$

です。


【解答】

$$ \text{ア}=3,\ \text{イ}=6,\ \text{ウ}=3,\ \text{エ}=3,\ \text{オ}=2,\ \text{カ}=4,\ \text{キ}=3,\ \text{ク}=3,\ \text{ケ}=3,\ \text{コ}=2 $$


【まとめ】三角関数グラフ係数決定のコツ

  • $b\theta-c$ は $b\left(\theta-\dfrac{c}{b}\right)$ に直して平行移動量を先に読むと迷いにくいです。
  • $\theta$ 軸との共有点は「$\sin(\cdot)=0$」の条件で機械的に数えると正確です。
  • 図からはまず振幅で $a$、次に零点間隔で $b$、最後に1点代入で $c$ を確定すると安定します。

【解き直しのすすめ】三角関数グラフ問題

今回のような空欄補充は、分かった気になりやすい単元です。
本当に定着させるには「式から図」「図から式」の往復練習が必要です。

次の2つを明日もう一度やってみてください。

  1. $\theta=\dfrac{\pi}{6}$ を使わずに、別の零点から $c$ を求め直せるか
  2. $y=\sin\left(3\theta-\dfrac{\pi}{2}\right)$ の共有点個数を、図を使わず式だけで再現できるか

明日、何も見ずにこの問題が解けるかテストしてみてください。
それが本当の実力です。


【最強の暗記法:絞り込みリコールシート】

□ 問題:$y=\sin\left(b\theta-c\right)$ を平行移動の形で見るとき、まず何に直しますか?

□ 答:$y=\sin\left(b\left(\theta-\dfrac{c}{b}\right)\right)$ に直して、移動量 $\dfrac{c}{b}$ を読みます。


□ 問題:$\sin X=0$ の一般解はどう書きますか?

□ 答:$X=n\pi\ (n\in\mathbb{Z})$ です。


□ 問題:$y=a\sin(\cdots)$ の振幅は何ですか?

□ 答:$a$($a>0$)です。


□ 問題:$y=\sin\left(b\theta-c\right)$ の隣り合う零点間隔は何ですか?

□ 答:$\dfrac{\pi}{b}$ です。


□ 問題:(1)で基準グラフ $y=\sin\left(\text{ア}\theta\right)$ のアはいくつですか?

□ 答:$\text{ア}=3$ です。


□ 問題:(1)で平行移動量 $\dfrac{\pi}{\text{イ}}$ のイはいくつですか?

□ 答:$\text{イ}=6$ です。


□ 問題:(1)で $0\le\theta<\pi$ の共有点個数ウはいくつですか?

□ 答:$\text{ウ}=3$ です。


□ 問題:(2)で振幅からわかる $a$ の値は何ですか?

□ 答:$a=3$ です。


□ 問題:(2)で零点間隔が $\dfrac{\pi}{2}$ のとき、$b$ はいくつですか?

□ 答:$b=2$ です。


□ 問題:(2)で $c$ は最終的にいくつですか?

□ 答:$c=\dfrac{4\pi}{3}$ です。


□ 問題:$y$ 軸との交点の $y$ 座標はいくつですか?

□ 答:$\dfrac{3\sqrt{3}}{2}$ です。


【友達に教えてあげよう】

三角関数のグラフ問題で、式の「$-c$」を見ただけで止まってしまう友達、周りにいませんか?

この問題は、$b\left(\theta-\dfrac{c}{b}\right)$ の形に直すだけで見通しが一気に良くなります。
さらに、零点条件 $\sin X=0$ を使えば共有点個数まで一貫して解けます。

教えるつもりで流れを説明すると、あなた自身の理解も一段深まります。
もし同じところで悩んでいる友達がいたら、このページのURLを送ってあげてください。あなたの一言が、友達の「わからない」を「解けた!」に変えるきっかけになるかもしれません。

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