この記事を読むと、直角三角形の辺の和の最大化を、三角比と $$ \sin\theta+\cos\theta=\sqrt{2}\sin\left(\theta+\dfrac{\pi}{4}\right) $$ の形で処理する流れがわかります。
【問題】
図のように、辺 $BC$ を共有する2つの直角三角形 $ABC,\ CBD$ があります。
$\angle ABC=\angle CBD=\theta\ (0<\theta<\dfrac{\pi}{2})$、$AB=2$ とします。
まず、直角三角形 $ABC$ において、直角をつくる2辺の和 $$ f(\theta)=AC+BC $$ が最大となるときの $\theta$ を求めます。
次に、直角三角形 $CBD$ において、直角をつくる2辺の和 $$ g(\theta)=CD+BD $$ が最大となるときの $\theta$ を求めます。
いまから解説します。
自分の力で解きましたか?
【図形と計量 三角比】解説と解答
導入
この問題のポイントは、辺の長さをすべて $\theta$ で表したあとに、 $$ \sin\theta+\cos\theta $$ の最大化へ落とし込むことです。
取っ掛かりは次の順番です。
- それぞれの直角三角形で、どの辺が斜辺かを先に固定します。
- $AB=2$ から $AC,\ BC$ を $\sin,\cos$ で表します。
- 和を $$ A\sin\left(k\theta+\varphi\right)+B $$ の形に変形して最大値条件を読みます。
使う武器(公式・定理)
既習の方は読み飛ばして大丈夫です。
- 直角三角形で、$\sin\theta=\dfrac{\text{対辺}}{\text{斜辺}}$、$\cos\theta=\dfrac{\text{隣辺}}{\text{斜辺}}$ です。
- 合成公式として $$ \sin t+\cos t=\sqrt{2}\sin\left(t+\dfrac{\pi}{4}\right) $$ を使います。
- $\sin X$ の最大値は $1$ で、達成条件は $X=\dfrac{\pi}{2}+2n\pi$ です。
思考のプロセス(Step by Step)
1. $f(\theta)=AC+BC$ の最大
直角三角形 $ABC$ で、斜辺は $AB=2$、角 $B$ が $\theta$ です。したがって $$ AC=2\sin\theta,\quad BC=2\cos\theta $$ です。
よって $$ f(\theta)=2\sin\theta+2\cos\theta $$ $$ =2\sqrt{2}\sin\left(\theta+\dfrac{\pi}{4}\right) $$ となります。
$0<\theta<\dfrac{\pi}{2}$ より $\theta+\dfrac{\pi}{4}$ は $\left(\dfrac{\pi}{4},\dfrac{3\pi}{4}\right)$ にあるので、最大は $$ \theta+\dfrac{\pi}{4}=\dfrac{\pi}{2} $$ のときです。したがって $$ \theta=\dfrac{\pi}{4} $$ です。
2. $g(\theta)=CD+BD$ の最大
直角三角形 $CBD$ では、斜辺は $BC$、角 $B$ が $\theta$ です。よって $$ CD=BC\sin\theta,\quad BD=BC\cos\theta $$ です。
さらに $BC=2\cos\theta$ を使うと $$ g(\theta)=CD+BD=BC\left(\sin\theta+\cos\theta\right) $$ $$ =2\cos\theta\left(\sin\theta+\cos\theta\right) $$ $$ =2\sin\theta\cos\theta+2\cos^2\theta $$ $$ =\sin2\theta+\left(1+\cos2\theta\right) $$ $$ =\sin2\theta+\cos2\theta+1 $$ $$ =\sqrt{2}\sin\left(2\theta+\dfrac{\pi}{4}\right)+1 $$ となります。
最大は $$ 2\theta+\dfrac{\pi}{4}=\dfrac{\pi}{2} $$ のときなので $$ 2\theta=\dfrac{\pi}{4} $$ $$ \theta=\dfrac{\pi}{8} $$ です。
【解答】
$$ f(\theta)\ \text{が最大となるとき}\ \theta=\dfrac{\pi}{4} $$
$$ g(\theta)\ \text{が最大となるとき}\ \theta=\dfrac{\pi}{8} $$
したがって、2つの値は一致しません。
【まとめ】三角比で辺の和を最大化するコツ
- まず「各三角形での斜辺」を確定して、辺を $\sin,\cos$ で表します。
- 和はそのまま比べず、合成して $\sin(\text{一次式})$ の形に直すと最大条件が見えます。
- 2つ目の三角形は $BC$ がすでに $\theta$ を含むため、二重に $\theta$ が入る点に注意します。
【解き直しのすすめ】図形と計量の定着
この問題は、式変形の流れを暗記するより「なぜその式になるか」を説明できることが重要です。
次を明日、何も見ずに試してみてください。
- $AB=2$ から $AC=2\sin\theta,\ BC=2\cos\theta$ を図つきで説明する
- $g(\theta)$ を $BC(\sin\theta+\cos\theta)$ とおく理由を言語化する
明日、何も見ずにこの問題が解けるかテストしてみてください。
それが本当の実力です。
【最強の暗記法:絞り込みリコールシート】
□ 問題:直角三角形 $ABC$ で $AB=2,\ \angle B=\theta$ のとき、$AC$ はどう表せますか?
□ 答:$AC=2\sin\theta$ です。
□ 問題:同じ条件で $BC$ はどう表せますか?
□ 答:$BC=2\cos\theta$ です。
□ 問題:$f(\theta)=AC+BC$ は最終的にどう表せますか?
□ 答:$f(\theta)=2\sqrt{2}\sin\left(\theta+\dfrac{\pi}{4}\right)$ です。
□ 問題:$f(\theta)$ が最大となる $\theta$ は何ですか?
□ 答:$\theta=\dfrac{\pi}{4}$ です。
□ 問題:直角三角形 $CBD$ で、$CD,\ BD$ を $BC$ で表すとどうなりますか?
□ 答:$CD=BC\sin\theta,\ BD=BC\cos\theta$ です。
□ 問題:$g(\theta)=CD+BD$ を $BC$ でくくるとどうなりますか?
□ 答:$g(\theta)=BC\left(\sin\theta+\cos\theta\right)$ です。
□ 問題:$BC=2\cos\theta$ を使った $g(\theta)$ はどうなりますか?
□ 答:$g(\theta)=2\cos\theta\left(\sin\theta+\cos\theta\right)$ です。
□ 問題:$g(\theta)$ は合成後どの形になりますか?
□ 答:$g(\theta)=\sqrt{2}\sin\left(2\theta+\dfrac{\pi}{4}\right)+1$ です。
□ 問題:$g(\theta)$ が最大となる $\theta$ は何ですか?
□ 答:$\theta=\dfrac{\pi}{8}$ です。
□ 問題:$f(\theta)$ と $g(\theta)$ が最大となる $\theta$ は一致しますか?
□ 答:一致しません(それぞれ $\dfrac{\pi}{4},\ \dfrac{\pi}{8}$ です)。
【友達に教えてあげよう】
「三角比はわかるのに最大化になると急に止まる」という友達、周りにいませんか?
この問題は、辺を三角比で表してから合成するだけで、見た目よりずっと素直に解けます。
教えるつもりで流れを説明できると、自分の理解も一気に深まります。
もし同じ単元で困っている友達がいたら、このページのURLを送ってあげてください。あなたの一言が、友達の「苦手」を「できる」に変えるきっかけになるかもしれません。