【数学II解説】相反方程式(6次)の解き方! $x+1/x=y$ の置換テクニックをプロが解説

【問題】

163 $y = x + \frac{1}{x}$ とおくとき,次の問いに答えよ。

(1) $x^3 + \frac{1}{x^3}$ を $y$ の多項式として表せ。

(2) 方程式 $x^6 + x^5 – 9x^4 – 10x^3 – 9x^2 + x + 1 = 0 \cdots \cdots$ ① を $y$ で表し,① を満たす すべての複素数 $x$ を求めよ。 (改 お茶の水女子大)


⚠️ 生徒のみなさんへ ⚠️ まず、ペンを持ってノートに書き写し、自力で解いてみましょう。 この問題は「相反方程式(そうはんほうていしき)」と呼ばれる、入試数学の超定番パターンです。お茶の水女子大の過去問ですが、基礎がしっかりしていれば必ず解けます。

…解けましたか? それでは解説を始めます。自分の解答と見比べながら読んでくださいね。


【解説】 相反方程式の解き方と対称式の利用

こんにちは、スマスクの数学講師です。 今回のテーマは、係数が左右対称になっている方程式、いわゆる**「相反方程式」**です。 (2) の式を見ると、係数が $1, 1, -9, -10, -9, 1, 1$ となっており、真ん中の $-10$ を中心に左右対称ですよね。この形を見たら「しめた!」と思ってください。解法が決まっているサービス問題です。

(1) $3$ 乗の和の変形

これは数学 I の「対称式」の基本変形ですね。 $a^3 + b^3 = (a+b)^3 – 3ab(a+b)$ という公式を覚えていますか? ここでは $ a = x $, $b = \frac{1}{x}$ と考えます。 すると、積 $ab = x \cdot \frac{1}{x} = 1$ になるのがポイントです。

$$ x^3 + \frac{1}{x^3} = \left( x + \frac{1}{x} \right)^3 – 3 \cdot x \cdot \frac{1}{x} \cdot \left( x + \frac{1}{x} \right) $$

$$ = y^3 – 3(1)y $$

$$ = y^3 – 3y $$

これが答えです。基礎基本ですが、これを間違えると (2) が全滅するので慎重に!

(2) 高次方程式(相反方程式)の解法

いよいよ本番の $6$ 次方程式です。

$$ x^6 + x^5 – 9x^4 – 10x^3 – 9x^2 + x + 1 = 0 $$

手順①:真ん中の次数で割る この方程式は $x=0$ を解に持ちません( $0$ を代入すると $1=0$ となり不適)。 なので、両辺を真ん中の次数である $x^3$ で割ることができます。

$$ \frac{x^6}{x^3} + \frac{x^5}{x^3} – \frac{9x^4}{x^3} – \frac{10x^3}{x^3} – \frac{9x^2}{x^3} + \frac{x}{x^3} + \frac{1}{x^3} = 0 $$

$$ x^3 + x^2 – 9x – 10 – \frac{9}{x} + \frac{1}{x^2} + \frac{1}{x^3} = 0 $$

手順②:ペアを作ってまとめる 同じ係数を持つ項どうしをペアにします。

  • $x^3$ と $\frac{1}{x^3}$
  • $x^2$ と $\frac{1}{x^2}$
  • $-9x$ と $-\frac{9}{x}$

$$ \left( x^3 + \frac{1}{x^3} \right) + \left( x^2 + \frac{1}{x^2} \right) – 9\left( x + \frac{1}{x} \right) – 10 = 0 $$

ここで、$ x^2 + \frac{1}{x^2} $も$ y $ で表す必要がありますね。

$$ x^2 + \frac{1}{x^2} = \left( x + \frac{1}{x} \right)^2 – 2 = y^2 – 2 $$

これと、(1) の結果 $x^3 + \frac{1}{x^3} = y^3 – 3y$ を代入します。

$$ (y^3 – 3y) + (y^2 – 2) – 9y – 10 = 0 $$

手順③: $y$ について解く 式を整理します。

$$ y^3 + y^2 – 12y – 12 = 0 $$

因数分解しましょう。前の $2$ 項と後ろの $2$ 項でくくると見えやすいです。

$$ y^2(y + 1) – 12(y + 1) = 0 $$

$$ (y + 1)(y^2 – 12) = 0 $$

よって、$ y = -1, \pm \sqrt{12} = \pm 2\sqrt{3} $

手順④: $x$ に戻す まだ終わりではありません! $y$ を元に戻して $x$ を求めます。

(i) $y = -1$ のとき

$$ x + \frac{1}{x} = -1 $$

両辺に $x$ をかけて整理します。

$$ x^2 + x + 1 = 0 $$

解の公式より

$$ x = \frac{-1 \pm \sqrt{1 – 4}}{2} = \frac{-1 \pm \sqrt{3}i}{2} $$

(ii) $y = 2\sqrt{3}$ のとき

$$ x + \frac{1}{x} = 2\sqrt{3} $$

$$ x^2 – 2\sqrt{3}x + 1 = 0 $$

解の公式より

$$ x = \frac{2\sqrt{3} \pm \sqrt{12 – 4}}{2} = \frac{2\sqrt{3} \pm \sqrt{8}}{2} = \frac{2\sqrt{3} \pm 2\sqrt{2}}{2} = \sqrt{3} \pm \sqrt{2} $$

(iii) $y = -2\sqrt{3}$ のとき

$$ x + \frac{1}{x} = -2\sqrt{3} $$

$$ x^2 + 2\sqrt{3}x + 1 = 0 $$

解の公式より

$$ x = \frac{-2\sqrt{3} \pm \sqrt{12 – 4}}{2} = -\sqrt{3} \pm \sqrt{2} $$

以上より、すべての解が出揃いました。


【解答】

(1)

$$ y^3 – 3y $$

(2) 方程式 ① を $y$ で表すと:

$$ y^3 + y^2 – 12y – 12 = 0 $$

これを満たす複素数 $x$ は:

$$ x = \frac{-1 \pm \sqrt{3}i}{2}, \quad \pm \sqrt{3} \pm \sqrt{2} \quad (\text{複号任意}) $$

(または $x = \frac{-1 \pm \sqrt{3}i}{2}, \sqrt{3} \pm \sqrt{2}, -\sqrt{3} \pm \sqrt{2}$)


【まとめ】 相反方程式攻略のポイント

  • 係数が左右対称なら「相反方程式」: 真ん中の次数の項(今回は $ x^3 $)で両辺を割り、$ x + \frac{1}{x} = y $ とおくのが定石です。
  • 対称式の変形公式を暗記する
    • $x^2 + \frac{1}{x^2} = y^2 – 2$
    • $x^3 + \frac{1}{x^3} = y^3 – 3y$ この 2 つは即座に出せるようにしておきましょう。
  • 最後まで気を抜かない: $y$ が求まって安心しがちですが、最終目標は $x$ を求めることです。2 次方程式を計 3 回解く必要があるので、計算ミスに注意しましょう。

【解き直しのすすめ】 計算力を鍛える

解説を読んで「流れはわかった」と思っても、実際に手を動かすと計算ミスをしてしまうのがこの単元の怖いところです。 特に (2) の $y$ の方程式を因数分解する部分や、最後の解の公式の計算は、自分一人の力でスムーズに行えるかどうかが合否を分けます。

今すぐ、解説を閉じて、最初から最後までノーヒントで計算しきれるかチャレンジしてみてください。 お茶の水女子大の「改」問題ですが、これがスラスラ解ければ、難関大の基礎力は十分についています!


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