三角比(tan)で高さを測る!測量問題の解き方と「目の高さ」の注意点をプロ講師が解説

【問題】

木の根もとから水平に $10 \, \text{m}$ 離れた地点に立って木の先端を見上げると、水平面とのなす角が $21^{\circ}$ であった。目の高さを $1.6 \, \text{m}$ として、木のさを求めよ。ただし、小数第2位を四捨五入せよ。

(考え方:まず、問題文から状況を把握して図に表す。図を単純化して、わかっていることや長さを求めたい線分を含む直角三角形に着目する。)


【先生からのメッセージ】 まずは、解説を見る前に自分で図を描いて計算してみてください。「わかったつもり」と「解ける」は違いますよ! 準備はいいですか? いまから解説します。自分の力で解きましたか?


【三角比の活用】タンジェントを使った高さの測り方を完全解説

こんにちは!スマスク先生です。 今日は「三角比(タンジェント)」を使って、実際に測ることが難しい「木の高さ」や「ビルの高さ」を計算で求める問題ですね。

この問題は、数学Iの三角比の単元でもっとも実用的な応用問題の一つです。「なんでサイン、コサイン、タンジェントなんて勉強するの?」と疑問に思ったことがある人もいるかもしれません。まさに、こういう測量のためにあるんですよ!

ポイントは**「目の高さを足し忘れないこと」**。ここが一番のつまずきポイントです。一緒に丁寧に見ていきましょう。

1. まずは公式の復習:なぜ $\tan$(タンジェント)を使うのか?

今回の問題でカギになるのは、直角三角形の辺の比です。 直角三角形において、ある鋭角 $\theta$ が決まると、辺の比が決まりますね。

$$ \tan \theta = \frac{\text{高さ(対辺)}}{\text{底辺(隣辺)}} $$

この式を変形すると、高さを求める便利な式になります。

$$ \text{高さ} = \text{底辺} \times \tan \theta $$

なぜ $\sin$ や $\cos$ ではなく $\tan$ を使うのか? それは、図を見たときに「底辺( $10 \, \text{m}$ )」がわかっていて、「高さ( $ BC $ )」を知りたいからです。「斜辺」の長さには興味がないときは、迷わずタンジェントを選びましょう!

2. 図を書いて状況を整理する

問題文にある図を見てください。状況を整理すると、以下のようになります。

  • 直角三角形ABC に注目します。
  • 底辺 $ AC $(水平距離)は $10 \, \text{m}$ です。
  • 角度 $ A $(見上げる角度)は $21^{\circ}$ です。
  • 求めたいのは、木の上の部分 $ BC $ の長さです。
  • 注意! 木の全体の高さは、この $ BC $ に、目の高さ( $ CD $ または $ AE $ )である $1.6 \, \text{m}$ を足す必要があります。

3. 計算のステップ

それでは、実際に計算していきましょう。 まずは、直角三角形の部分(目線より上の木の高さ)を求めます。

直角三角形 $ ABC $ において、先ほどのタンジェントの式を使います。

$$ BC = AC \tan 21^{\circ} $$

ここで、問題集の巻末などにある三角比の表(または問題で与えられた値)から、$ \tan 21^{\circ} \approx 0.3839 $ を使います。

$$ BC = 10 \times 0.3839 $$

$$ BC = 3.839 $$

これで、目線より上の高さが約 $3.839 \, \text{m}$ だとわかりました。

最後に、木の全体の高さ $ BD $ を求めます。 ここで目の高さ $1.6 \, \text{m}$ を足すのを絶対に忘れないでくださいね!

$$ BD = BC + CD $$

$$ BD = 3.839 + 1.6 $$

$$ BD = 5.439 $$

問題文には「小数第2位を四捨五入せよ」という指示があります。 $5.439$ の小数第2位( $3$ )を四捨五入します。$ 3 $ は切り捨てですね。

$$ BD \approx 5.4 $$

よって、答えは $ 5.4 , \text{m} $ となります。


【まとめ】三角比の文章題を解く3つのポイント

今日の重要ポイントをまとめます。ノートにメモしておきましょう!

  • 図を必ず描く: 文章だけではミスが起きやすいです。直角三角形と、その下の長方形(目の高さ分)を必ず書きましょう。
  • 使う三角比を見極める:
    • 底辺と高さの関係なら $ \tan $
    • 斜辺と高さの関係なら $ \sin $
    • 斜辺と底辺の関係なら $ \cos $
  • 「目の高さ」を忘れない: 計算で求めた直角三角形の高さに、自分の身長(目の高さ)を足して初めて答えになります。

【解き直しのすすめ】「わかった」を「できる」に変えるアクション

解説を読んで「なるほど、簡単じゃん!」と思ったあなた。そこが一番危険です! 人間の脳は、読んだだけの情報はすぐに忘れてしまうようにできています。

今すぐ、この画面を閉じて(あるいは目を逸らして)、白い紙に図を描くところから再現できますか?

  1. 図を自分で描く(水平線、木、目の高さ)。
  2. 式を立てる( $BC = 10 \tan 21^{\circ}$ )。
  3. 計算して四捨五入する。

ここまで何も見ずにできたら、本当に「実力」がついた証拠です。ぜひ、今日中に1回解き直してみてくださいね。


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