- 【問題】
解と係数の関係
$$ ax^2 + bx + c = 0 $$
の解が $\alpha, \beta$ であるとき
$$ \alpha + \beta = -\frac{b}{a}, \quad \alpha\beta = \frac{c}{a} $$
今回は問題演習ではなく、高校数学で非常に重要な「公式」の解説です。 まずは、上記の「解と係数の関係」の公式を、何も見ずにスラスラと書けるかどうか、手元の紙に書いてチェックしてみてください。
書けたら、あるいは「あれ、符号がどっちだったかな?」と迷ったら、続きの解説を読んで理解を深めましょう。
いまから答えを発表します。 ちゃんと自分の力で解いてみましたか?
- 【解説】
こんにちは、スマスク数学講師です。
今回は、高校数学、特に数学IIの重要単元である「式と証明」「複素数と方程式」などで頻出の「解と係数の関係」について解説します。
長年、多くの受験生を見てきましたが、この公式は「知っているけれど使いこなせていない」生徒が非常に多い単元の一つです。単に公式を丸暗記しているだけでは、応用問題に対応できません。
この公式のすごいところは、「二次方程式をわざわざ解かなくても、2つの解の『和』と『積』が、係数を見るだけで瞬時にわかる」という点にあります。これを使いこなせるようになると、計算量が劇的に減り、解ける問題の幅が一気に広がりますよ。
なぜこの公式が成り立つのか、その背景をしっかり理解して、強力な武器にしていきましょう!
解と係数の関係の証明
では、なぜこの便利な公式が成り立つのか、実際に計算して確かめてみましょう。 基本となるのは、中学校で習った「二次方程式の解の公式」です。
二次方程式
$$ ax^2 + bx + c = 0 \quad (a \neq 0) $$
の解は、解の公式より
$$ x = \frac{-b \pm \sqrt{b^2 – 4ac}}{2a} $$
となりますね。 ここで、2つの解 $\alpha, \beta$ をそれぞれ以下のように置きます。
$$ \alpha = \frac{-b + \sqrt{b^2 – 4ac}}{2a}, \quad \beta = \frac{-b – \sqrt{b^2 – 4ac}}{2a} $$
解の和 $\alpha + \beta$
まずは、この2つの解を足してみましょう。分母が同じなので、そのまま分子を足します。
$$ \alpha + \beta = \frac{-b + \sqrt{b^2 – 4ac}}{2a} + \frac{-b – \sqrt{b^2 – 4ac}}{2a} $$
$$ = \frac{(-b + \sqrt{b^2 – 4ac}) + (-b – \sqrt{b^2 – 4ac})}{2a} $$
分子の $\sqrt{b^2 – 4ac}$ の部分がプラスとマイナスで打ち消し合って消えますね。
$$ = \frac{-2b}{2a} $$
約分すると、きれいな形になります。
$$ = -\frac{b}{a} $$
これで、一つ目の式が証明できました。
解の積 $\alpha\beta$
次に、2つの解を掛けてみましょう。
$$ \alpha\beta = \left( \frac{-b + \sqrt{b^2 – 4ac}}{2a} \right) \left( \frac{-b – \sqrt{b^2 – 4ac}}{2a} \right) $$
分母は $2a \times 2a = 4a^2$ です。 分子は $(A+B)(A-B) = A^2 – B^2$ の形(和と差の積)になっていますね。 ここで $A = -b$, $B = \sqrt{b^2 – 4ac}$ と見て計算します。
$$ = \frac{(-b)^2 – (\sqrt{b^2 – 4ac})^2}{4a^2} $$
ルートの2乗なので、ルートが外れます。符号に注意して展開しましょう。
$$ = \frac{b^2 – (b^2 – 4ac)}{4a^2} $$
$$ = \frac{b^2 – b^2 + 4ac}{4a^2} $$
分子の $b^2$ が消えます。
$$ = \frac{4ac}{4a^2} $$
最後に $4a$ で約分します。
$$ = \frac{c}{a} $$
これで、二つ目の式も証明できました。
いかがでしたか?実際に解の公式を使って計算してみると、複雑なルートの部分がきれいに消えて、係数 $a, b, c$ だけのシンプルな式になることが実感できたと思います。
- 【解答】
解と係数の関係
二次方程式 $ax^2 + bx + c = 0$ の2つの解を $\alpha, \beta$ とすると、以下の関係が成り立ちます。
解の和
$$ \alpha + \beta = -\frac{b}{a} $$
解の積
$$ \alpha\beta = \frac{c}{a} $$
- まとめ
今回のポイントは以下の通りです。
- 解と係数の関係は、二次方程式を解かずに「解の和」と「解の積」を係数から直接求めることができる強力なツールです。
- 和は $\alpha + \beta = -\frac{b}{a}$(マイナスを忘れずに!)
- 積は $\alpha\beta = \frac{c}{a}$
- この公式は、もともとの「解の公式」から導き出されたものです。
- 【解き直しのすすめ】
解説を読んで「なるほど、そういうことか」と理解できたでしょうか?
多くの生徒さんを見てきましたが、解説を聞いて「わかったつもり」になっても、いざテストで使おうとすると「あれ、和の公式はマイナスがついたっけ?」と手が止まってしまう子が本当に多いんです。プロの講師として断言しますが、「見て理解すること」と「自分の手で再現できること」は全く別物です。
今回は公式の解説でしたが、ただ丸暗記するのではなく、ぜひ一度、解説を閉じて、何も見ずに「自分で証明の計算をしてみる」ことをお勧めします。自分で導き出せるようになれば、うろ覚えによるミスは絶対に起きなくなりますよ。
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