【数学A解説】「少なくとも1人が合格する確率」の求め方とは?余事象を使って計算ミスをゼロにする方法

【問題】 確率・余事象の活用

画像の問題文は以下の通りです。

A, B, C の3人がある検定試験に合格する確率は,それぞれ $$\frac{3}{4}$$,$$\frac{1}{2}$$,$$\frac{5}{8}$$ であるとする。3人のうち,少なくとも1人が合格する確率を求めよ。


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解説を読む前に、まずは紙とペンを用意して、自分の力で答えを出してみましょう。

「たぶんこう解くんじゃないかな?」と仮説を立てて手を動かすことが、数学力を伸ばす一番の近道です。

準備はいいですか? それでは、解説を始めます。ちゃんと自分の力で解いてみましたか?


【解説】 「少なくとも」ときたら余事象!

こんにちは!スマスクの数学講師です。

今回のテーマは、数学Aの確率における最重要キーワードの一つ、「少なくとも」についてです。

この問題を見て、「Aだけ合格する場合と、AとBが合格する場合と…」と、すべての場合を書き出して足し算しようとした人はいませんか? もしそうしていたら、計算ミスをする可能性が非常に高いです。

最難関大を目指す生徒でも、確率が苦手な子はここを真正面から突破しようとして時間を浪費してしまいます。 プロ講師として断言しますが、問題文に「少なくとも」という言葉を見つけたら、まずは**「余事象(よじしょう)」**を疑ってください。これが鉄則です!

ポイント:余事象(逆の確率)を考える

「3人のうち、少なくとも1人が合格する」という状態の逆(否定)は、どんな状態でしょうか?

  • 1人合格? $\rightarrow$ これは「少なくとも1人」に含まれます。
  • 2人合格? $\rightarrow$ これも含まれます。
  • 全員合格? $\rightarrow$ これも含まれます。

逆のケースは、たった一つ。 「3人とも不合格である(全員落ちる)」 という場合だけです。

全体の確率($1$)から、「全員不合格の確率」を引けば、求めたい「少なくとも1人が合格する確率」が一発で求まります。

公式として書くとこうなります。

$$ \text{求める確率} = 1 – \left( \text{全員不合格の確率} \right) $$### ステップ1:それぞれの不合格率を出す

まず、A, B, C それぞれが「不合格」になる確率を求めましょう。 合格する確率を $1$ から引けばよいですね。

Aが不合格になる確率は、

$$1 – \frac{3}{4} = \frac{1}{4} $$Bが不合格になる確率は、

$$ 1 – \frac{1}{2} = \frac{1}{2} $$Cが不合格になる確率は、

$$1 – \frac{5}{8} = \frac{3}{8} $$### ステップ2:全員が不合格になる確率を計算する

3人の合否は互いに影響しません(独立試行といいます)。 なので、「Aも落ちて、かつ、Bも落ちて、かつ、Cも落ちる」確率は、それぞれの不合格率を掛け算すれば求められます。

$$ \frac{1}{4} \times \frac{1}{2} \times \frac{3}{8} = \frac{3}{64} $$これが、「3人とも不合格になる確率」です。

ステップ3:全体から引く

最後に、全体の確率 $1$ から、ステップ2で求めた確率を引きます。

$$1 – \frac{3}{64} = \frac{64}{64} – \frac{3}{64} = \frac{61}{64} $$計算はこれだけです!正面から計算するよりずっと楽ですよね。

【解答】 確率・余事象の計算

「少なくとも1人が合格する」という事象は、「3人とも不合格である」という事象の余事象である。

A, B, C が不合格となる確率はそれぞれ、

$$ 1 – \frac{3}{4} = \frac{1}{4}, \quad 1 – \frac{1}{2} = \frac{1}{2}, \quad 1 – \frac{5}{8} = \frac{3}{8} $$3人とも不合格となる確率は、

$$\frac{1}{4} \times \frac{1}{2} \times \frac{3}{8} = \frac{3}{64} $$よって、求める確率は、

$$ 1 – \frac{3}{64} = \frac{61}{64} $$答え:

$$\frac{61}{64} $$## まとめ \&SEOキーワード

  • キーワードに反応せよ: 問題文に「少なくとも」とあったら、即座に「余事象(全体-逆)」の利用を考える。
  • 不合格率の計算: 合格率がわかっている場合、不合格率は $1 – \text{合格率}$ で求める。
  • 独立な試行の確率: それぞれの結果が影響しない場合、確率は掛け算で求められる。

【解き直しのすすめ】 「わかったつもり」を撲滅しよう

解説を読んで、「なんだ、引き算するだけじゃん」と安心しませんでしたか?

実は、多くの生徒を見てきましたが、解説を聞いて『わかったつもり』になっても、実際にテストで似たような問題(例えば「少なくとも1回は表が出る」など)が出ると、「あれ? どうやって式を立てるんだっけ?」と手が止まってしまう子が本当に多いんです。

「解説を読んで理解すること(インプット)」と「自分の力で解けること(アウトプット)」は全く別物です。

間違っていた場合、あるいは少しでも考え込んでしまった場合は、今すぐ解説を閉じてください。 そして、「何も見ずに」 白紙の状態から、自力で正解の $\frac{61}{64}$ を導き出せるか、もう一度トライしてみましょう。それができて初めて、あなたの実力になります!

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