【数学II解説】3点を通る外接円の中心(外心)と面積の求め方!平行移動を使った計算短縮テクニック

【問題】

169 $3$ 点 $ A(3, 2) $, $ B(-5, 0) $, $C(1, -4)$ について,次の問いに答えよ。 (1) $\triangle ABC$ の外接円の中心の座標を求めよ。 (2) $\triangle ABC$ の面積を求めよ。


⚠️ 生徒のみなさんへ ⚠️ 解説を見る前に、まずはペンを持って自分のノートに解いてみましょう。 「座標平面上の三角形」は、図形と方程式の分野で避けて通れない重要テーマです。計算ミスをしやすい単元でもあるので、丁寧に計算しきれるかチャレンジしてください。

…自分の力で解きましたか? それでは、解説を始めます。どこでつまずいたかを確認しながら読んでくださいね。


【解説】 図形と方程式・座標幾何学の重要公式

こんにちは、スマスクの数学講師です。 今回のテーマは、数学 II の「図形と方程式」です。 この単元は、図形の性質を計算で解く力が試されます。特に (1) の外心(外接円の中心)と (2) の面積公式は、入試でも頻出の「定石」があります。 計算量が多くなりがちなので、いかに効率よく解くかがポイントですよ。

(1) 外接円の中心(外心)の求め方

外接円の中心(外心)を $P(x, y)$ とおきます。 外心の性質は**「各頂点からの距離が等しい」**ということです。 つまり、

$$ AP = BP = CP $$

が成り立ちます。 ルート(根号)が出てくると計算が面倒なので、最初から 2 乗した式で連立方程式を作りましょう。

$$ AP^2 = BP^2 = CP^2 $$

具体的には、以下の 2 つの式を作って解きます。

  1. $AP^2 = BP^2$
  2. $BP^2 = CP^2$

これで $x$ と $y$ の連立 1 次方程式になります。

(2) 座標平面上の三角形の面積

三角形の面積を求める方法はいくつかありますが、座標が与えられている場合は**「サラスの公式(たすき掛けの公式)」**の応用が最強の武器になります。

通常、底辺の長さを求めて、直線の式を出して、点と直線の距離の公式で高さを出して……とやると、計算が地獄のように長くなりますよね。

ここでプロ講師のテクニック**「平行移動」**を使います。 三角形の形状(面積)は、平行移動しても変わりません。 計算を楽にするために、頂点の一つを原点 $O(0, 0)$ に重ねるように三角形全体を移動させます。

今回は点 $B(-5, 0)$ を原点 $O(0, 0)$ に移動させると楽そうです。 $x$ 軸方向に $+5$ だけ移動させれば良いですね。

  • $B(-5, 0) \rightarrow O(0, 0)$
  • $A(3, 2) \rightarrow A'(8, 2)$
  • $C(1, -4) \rightarrow C'(6, -4)$

原点 $ O $と他 2 点$ (x_1, y_1), (x_2, y_2) $ を結ぶ三角形の面積 $S$ は、以下の公式で一発です!

$$ S = \frac{1}{2} |x_1 y_2 – x_2 y_1| $$

これを使えば、数秒で答えが出ますよ。


【解答】

(1) 求める外接円の中心を $P(x, y)$ とする。 $ P $は 3 点$ A, B, C $ から等距離にあるので、$ AP^2 = BP^2 = CP^2 $ が成り立つ。

まず、$ AP^2 = BP^2 $ より

$$ (x – 3)^2 + (y – 2)^2 = (x + 5)^2 + y^2 $$

$$ x^2 – 6x + 9 + y^2 – 4y + 4 = x^2 + 10x + 25 + y^2 $$

整理して

$$ 16x + 4y = -12 $$

$$ 4x + y = -3 \quad \cdots ① $$

次に、$ BP^2 = CP^2 $ より

$$ (x + 5)^2 + y^2 = (x – 1)^2 + (y + 4)^2 $$

$$ x^2 + 10x + 25 + y^2 = x^2 – 2x + 1 + y^2 + 8y + 16 $$

整理して

$$ 12x – 8y = -8 $$

$$ 3x – 2y = -2 \quad \cdots ② $$

①、②の連立方程式を解く。 ① より $y = -4x – 3$ これを ② に代入して

$$ 3x – 2(-4x – 3) = -2 $$

$$ 3x + 8x + 6 = -2 $$

$$ 11x = -8 $$

$$ x = -\frac{8}{11} $$

これを $y = -4x – 3$ に代入して

$$ y = -4\left(-\frac{8}{11}\right) – 3 = \frac{32}{11} – \frac{33}{11} = -\frac{1}{11} $$

よって、求める座標は

$$ \left( -\frac{8}{11}, -\frac{1}{11} \right) $$

(2) 点 $B(-5, 0)$ が原点 $O$ に来るように、$\triangle ABC$ を $x$ 軸方向に $+5$ だけ平行移動する。 移動後の 3 点の座標は $B’ (0, 0) $$ A’ (3+5, 2) = (8, 2) $ $C’ (1+5, -4) = (6, -4)$

よって、求める面積 $S$ は公式より

$$ S = \frac{1}{2} | 8 \cdot (-4) – 2 \cdot 6 | $$

$$ = \frac{1}{2} | -32 – 12 | $$

$$ = \frac{1}{2} | -44 | $$

$$ = 22 $$

(別解:点と直線の距離を用いる場合) 直線 $ BC $ の方程式は、傾き $ \frac{-4-0}{1-(-5)} = -\frac{2}{3} $、点 $(-5, 0)$ を通るので $y = -\frac{2}{3}(x+5) \iff 2x + 3y + 10 = 0$ 線分 $ BC $ の長さは $\sqrt{(1-(-5))^2 + (-4-0)^2} = \sqrt{36+16} = \sqrt{52} = 2\sqrt{13}$ 点 $A(3, 2)$ と直線 $ BC $ の距離 $h$ は $h = \frac{|2\cdot3 + 3\cdot2 + 10|}{\sqrt{2^2+3^2}} = \frac{22}{\sqrt{13}}$ よって面積は $\frac{1}{2} \cdot 2\sqrt{13} \cdot \frac{22}{\sqrt{13}} = 22$


【まとめ】 座標平面の問題を攻略するコツ

  • 外心は「距離の 2 乗」で等式を作る: ルートを使わずに $AP^2 = BP^2$ の形で式を立てると、スムーズに連立 1 次方程式に持ち込めます。
  • 面積は「平行移動」を活用する: 「底辺 × 高さ」の正攻法も大切ですが、検算用としても「片方を原点に移動して $ \frac{1}{2}|ad-bc| $」の公式は非常に強力です。計算ミスを大幅に減らせます。

【解き直しのすすめ】 計算ミスをゼロにするために

解説を読んで「やり方はわかった」と思っても、実際に手を動かすと分数の計算でミスをしたり、符号を間違えたりすることがよくあります。 特に今回の (1) の答えは $-\frac{8}{11}$ のように少し汚い分数になりました。「計算間違ってるかな?」と不安になりやすい場面です。

今すぐ、解説を隠して、もう一度最初から最後まで計算しきれるかチャレンジしてみてください。 途中でつっかえずに答えまでたどり着ければ、あなたの計算力は本物です!


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