【問題】
185 (1) 点 $Q$ が,放物線 $y = x^2 – 2x + 6$ 上を動くとき,点 $A(2, 3)$ と点 $Q$ を結ぶ線分 $AQ$ を $1:2$ に内分する点 $P$ の軌跡を求めよ。(日本福祉大) (2) $xy$ 平面上に原点 $O$ を中心とする半径 $1$ の円 $C$ とその上の点 $A(1, 0)$ がある。円 $C$ 上を動く点 $P$ に対して,3 点 $O, A, P$ が三角形を作るとき,その三角形の重心を $G$ とする。$G$ の軌跡を求めよ。(改 広島大)
考え方:軌跡の方程式を求めた後,除外点がないかどうか確認する。
⚠️ 生徒のみなさんへ ⚠️ 解説を見る前に、まずはペンを持って自分のノートに解いてみましょう。 「軌跡」の問題は、動く点と求める点の関係式を作ることが第一歩です。 特に (2) は「三角形を作る」という条件がヒント。計算して終わりではない、少し意地悪な(でも良問な)問題ですよ。
…自分の力で解きましたか? それでは、解説を始めます。どこでつまずいたかを確認しながら読んでくださいね。
【解説と解答】 連動する点の軌跡・除外点の考察
こんにちは、スマスクの数学講師です。 今回は、数学 II の図形と方程式から**「連動して動く点の軌跡」**についての問題です。 ある点が動くと、それにつられて別の点が動く……。こういう問題は、「つなぎ役」となる変数を消去するのが鉄則です。
東工大や一橋大の入試でも、軌跡の問題は「条件を満たさない点(除外点)」の吟味が合否を分けることがよくあります。 今回の (2) はまさにその練習にピッタリの問題です。しっかり見ていきましょう!
使う公式の復習
この問題で使う道具は主に 2 つです。
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内分点の座標 2 点 $A(x_1, y_1), B(x_2, y_2)$ を $m:n$ に内分する点の座標は、 $ \left( \frac{nx_1 + mx_2}{m+n}, \frac{ny_1 + my_2}{m+n} \right) $
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三角形の重心の座標 3 点 $(x_1, y_1), (x_2, y_2), (x_3, y_3)$ を頂点とする三角形の重心の座標は、 $ \left( \frac{x_1 + x_2 + x_3}{3}, \frac{y_1 + y_2 + y_3}{3} \right) $ 「全部足して 3 で割る」と覚えましょう。
(1) 放物線と連動する内分点の軌跡
手順①:座標を設定する 求めたい点 $P$ の座標を $(x, y)$、放物線上を動く点 $Q$ の座標を $(s, t)$ とおきます。 点 $Q$ は放物線 $y = x^2 – 2x + 6$ 上にあるので、以下の式が成り立ちます。
$$ t = s^2 – 2s + 6 \quad \cdots ① $$
手順②:関係式を作る 点 $P(x, y)$ は、線分 $AQ$ を $1:2$ に内分する点です。$A(2, 3), Q(s, t)$ なので、内分公式を使います。
$$ x = \frac{2 \cdot 2 + 1 \cdot s}{1 + 2} = \frac{4 + s}{3} $$
$$ y = \frac{2 \cdot 3 + 1 \cdot t}{1 + 2} = \frac{6 + t}{3} $$
手順③:つなぎの変数 $(s, t)$ を消去する この式を、$s, t$ について解きます。これが「逆手流」と呼ばれる考え方の第一歩です。
$$ s = 3x – 4 \quad \cdots ② $$
$$ t = 3y – 6 \quad \cdots ③ $$
これらを①の式($Q$ が満たす式)に代入すれば、$x, y$ だけの関係式が得られます。
$$ 3y – 6 = (3x – 4)^2 – 2(3x – 4) + 6 $$
手順④:式を整理する
$$ 3y – 6 = (9x^2 – 24x + 16) – (6x – 8) + 6 $$
$$ 3y – 6 = 9x^2 – 30x + 14 $$
$$ 3y = 9x^2 – 30x + 20 $$
両辺を 3 で割って、答えの形にします。
$$ y = 3x^2 – 10x + \frac{20}{3} $$
(※計算の最後で訂正: 元の画像の計算メモや問題集の解答にあるように、定数項の計算を確認します) 右辺の定数項: $16 + 8 + 6 = 30$ ではなく $16 – (-8) + 6$ 等の符号ミスに注意。 正しく展開します: $3y – 6 = 9x^2 – 24x + 16 – 6x + 8 + 6$ $3y – 6 = 9x^2 – 30x + 30$ $3y = 9x^2 – 30x + 36$ $y = 3x^2 – 10x + 12$
解答 (1) 放物線 $y = 3x^2 – 10x + 12$
(2) 三角形の重心の軌跡と除外点
手順①:座標を設定する 求めたい重心 $G$ の座標を $(x, y)$、円周上を動く点 $P$ の座標を $(s, t)$ とおきます。 点 $P$ は原点を中心とする半径 1 の円 $x^2 + y^2 = 1$ 上にあるので、
$$ s^2 + t^2 = 1 \quad \cdots ④ $$
手順②:関係式を作る $O(0, 0), A(1, 0), P(s, t)$ の重心が $G(x, y)$ なので、
$$ x = \frac{0 + 1 + s}{3} = \frac{s + 1}{3} $$
$$ y = \frac{0 + 0 + t}{3} = \frac{t}{3} $$
手順③:つなぎの変数 $(s, t)$ を消去する $s, t$ について解きます。
$$ s = 3x – 1 $$
$$ t = 3y $$
これらを④の円の方程式に代入します。
$$ (3x – 1)^2 + (3y)^2 = 1 $$
$$ 9 \left( x – \frac{1}{3} \right)^2 + 9y^2 = 1 $$
両辺を 9 で割ります。
$$ \left( x – \frac{1}{3} \right)^2 + y^2 = \frac{1}{9} $$
手順④:除外点の確認(超重要!) ここで問題文の条件「3 点 $O, A, P$ が三角形を作るとき」を思い出してください。 三角形ができないのは、**「3 点が一直線上に並ぶとき」**です。 $O(0, 0)$ と $A(1, 0)$ は $x$ 軸上にあります。 つまり、点 $P$ が $x$ 軸上に来てしまったら、三角形は潰れてしまいます。
点 $P$ が円 $x^2 + y^2 = 1$ 上かつ $x$ 軸上 ($t=0$) にあるのは、 $P(1, 0)$ または $P(-1, 0)$ のときです。
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$P(1, 0)$ のとき(点 A と重なるとき): $G$ の座標は $x = \frac{1+1}{3} = \frac{2}{3}, \quad y = 0$ よって、点 $\left( \frac{2}{3}, 0 \right)$ は除外。
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$P(-1, 0)$ のとき: $G$ の座標は $x = \frac{-1+1}{3} = 0, \quad y = 0$ よって、原点 $(0, 0)$ は除外。
解答 (2) 円 $\left( x – \frac{1}{3} \right)^2 + y^2 = \frac{1}{9}$ ただし、2 点 $(0, 0), \left( \frac{2}{3}, 0 \right)$ を除く。
【まとめ】 軌跡の問題を完答するコツ
- 変数の消去: 「求めたい点の座標 $(x, y)$」と「動く点の座標 $(s, t)$」の関係式を作り、$s, t$ を $x, y$ で表して元の式に代入する(逆手流)。これが黄金パターンです。
- 除外点のチェック: 図形の問題では、「三角形ができる」「分母が 0 にならない」などの前提条件が隠れています。 特に円関係の軌跡や、三角形の成立条件が絡む場合は、**「特殊な位置(一直線上など)」**を除外する必要がないか、最後に必ず確認しましょう。
【解き直しのすすめ】 除外点のロジックを自分で再現する
(2) の計算自体は難しくありませんが、最後に「ただし~を除く」と書けるかどうかが、実力の見せ所です。 試験本番では、この一行があるかないかで減点される可能性があります。
今すぐ、(2) の問題をもう一度解き直してみましょう。 計算式を作るだけでなく、「なぜその点が除外されるのか」を言葉や図で説明できるようにしておくと、応用力がグッと上がりますよ!
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「軌跡の問題で、いつ除外点が必要なのかわからない…」「計算ミスが多くて点数が伸びない」など、数学の悩みはありませんか? 独学で詰まってしまうと時間がもったいないですよね。 LINE 公式アカウントでは、勉強の質問や進路相談を受け付けています。気軽にメッセージを送ってくださいね!

